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彗星のような、読書を

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書評ではありません。ただ私が読んだ本を気軽に、私らしく、紹介していくだけのマガジンですので、気軽に読んでください。 ジャンルはバラバラです。物語も学術書も詩やエッセイも、私が読ん…
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2021年1月の記事一覧

文月悠光『適切な世界の適切ならざる私』

文月悠光『適切な世界の適切ならざる私』

『ブレザーもスカートも私にとっては不適切。姿見に投げ込まれたまとまりが、組み立ての肩肘を緩め、ほつれていく。配られた目を覗きこめば、どれも相違している。そこで初めて、一つ一つの衣を脱ぎ、メリヤスをときほぐしていく。
それは、適切な世界の適切ならざる私の適切かつ必然的行動。』

タイトル買い詩集。適切な世界の適切ならざる私。口ずさみたいタイトル。何回も口ずさむ。適切な世界の適切ならざる私。適切ならざ

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ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』

ジャン・ジュネ『ブレストの乱暴者』

予測変換機能、『ジャン』って入力してもジャン・ジュネって出てこないんだね。ジャン・ポール・エヴァン(チョコ)やジャン・ポール・ゴルチエ(ブランド、香水の匂いは嗅いだことある)は出てくるのに。って思いました。ちょっと遺憾です。

ジュネはフランスの泥棒作家。比喩ではなくて、本当に自身が泥棒、つまり犯罪者で、そして同性愛者。ジュネの評伝だとサルトルがすっげー分厚いのを書いているはず。その評伝は読んだこ

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川野芽生『Lilith』

川野芽生『Lilith』

歌集だ。小説ではない。限られた文字数で紡ぐ世界。 

lilith-―リリス。アダムの最初の妻。エヴァの先に在った女。神に放逐された女。

タイトルに惹かれて手に取る。冬の空のような色の表紙。ラピスラズリ色に輝く『Lilith』のタイトル。帯の文は山尾悠子さん。特に立ち読みはしないで購入、私は元々作者のことはなにも知らない。

『夕かげは紅茶を注ぐやうに来て角砂糖なるわれのくづるる』

『六月のあ

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