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【日記】オットはちょっと軌道を外れている

5月某日。
ムスメがついに修学旅行へ出発して、私は開放感にひたっている。

この1週間というもの、私とムスメはオットからの「あれ準備した?」「これ下調べした?」という、怒涛の確認と、アドバイスと、リコメンドを、まるで滝行のように浴びていた。

オットは愛媛から引っ越してきた新妻(私)が、1人で初めて名古屋駅まで出かけるときに、
その日の天気予報から始まって、
最寄りの駅の何番の出入口を使うのが良いのか、
その駅の何番ホームの、
どの辺りで電車を待って、
何両目の車両に乗れば、
名古屋駅で降りたときに使う階段に近いのか、
思いつくすべてのことを懇切丁寧に説明してくれる、そんな人間である。

下調べとプランニングが、少し常軌を逸しているのではないか?と思うくらい、好きなのだ。

ちなみにオットにはもうひとつ好きなことがあって、それはトラブルシューティング。

やっぱりちょっと軌道を外れた人なんだと思う。

この数日のオットは、私がムスメならとっくに「おとーさん、うざい!」とキレているであろう勢いで、ムスメ(とその横にいる私)に話しかけたり、質問したり、確認していたのだけれど、当のムスメはケロッとしていた。

ひとりっ子というのは、生まれてからずっと、両親の愛と干渉の集中砲火に晒されがちなので、意外と忍耐強い。

あるいは、ダディの話を適当に聞き流していたのかも。(マミィもたまにやってるよ!)


ムスメを見送るために、久しぶりに訪れた地元の空港は、相変わらずみきゃんに支配されていた。

もしかして私が知らないだけで「みきゃん空港」に改名したのかと思うほど。

改名したわけではなさそうだ。

ムスメが旅立ち、滝行から解放されたのは嬉しいけれど、ムスメの不在は素直に寂しい。

家の中に80代と70代と50代しかいない。

オットが「家の中が枯れている……」と言うとおり、夕食の席も「お通夜でももう少し会話が弾むのでは?」というレベルに静かだった。

夜、ムスメから届いたメールが
「We did see Mt Fuji! It was so huge you could easily tell it was Mt Fuji. I also saw you watching the plane from the viewing deck.」
で始まるなかなかの長文で、あの人、小さなころは「今日は(幼稚園や学校は)どうだった?」と聞いても「わすれた」としか答えてくれなかったのに、いつの間にかずいぶん立派になったなあと思う。

子どもの成長は嬉しくてほんのり寂しい。

マミィからムスメへの写真メール。
ムスメの不在が寂しくて、
それを紛らわせようとして
家事が捗るのだった。
……っていうか春炬燵(季語)を超えて
夏炬燵だったんだな。
我ながらズボラがひどい。

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