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006 | 金平糖の降るところ
図書館で借りてきた、江國香織さんの本。結構分厚くて、読むのに時間かかるかなと思ったけれど、面白くて一気に読んでしまった。
主人公は日系アルゼンチン人の姉妹。主要人物はそれに加えて姉の佐和子の夫・達也、妹・ミカエラの娘、アジェレン。この4人が次々に語り手となって、物語は進んでいく。
出てくる登場人物が、まあみんな浮気だの不倫だのしている。全員。なんとなく読むのさえ悪いことをしている気分になった。
正直いうと、登場人物の誰1人共感できる、理解できる人物はいなかった。けれど、魅力的なのも事実だった。私は佐和子が一番意味わからなくて、でも一番好きな人物だ。
自分が結婚したからというのもあるだろうが、どうしても不倫された側、つまりアジェレンの不倫相手・ファクンドの奥さんや子供、佐和子の不倫相手・たぶちんの奥さんや息子のことを考えてしまう。特にたぶちんなんて若くて子どもも生まれたばかりだから、おまえは一体何してるんだ!!!と怒りたくなった。
アジェレンに関しては完全にファクンドに熱をあげていて、年頃の娘にありがちなことだと思ったが、相手が悪かったな…という気持ちになった。本当にアジェレンのことを愛しているのなら、離婚をしてアジェレンのほうにいくだろうに、そうしないということは彼にとって第一は家族を守ることなのだ。だからこそアジェレンは彼の仕事の昼休みや、夏休みに奥さんたちが別荘に行っているときにしか会えない。それに気がつかない(いや、気がついてはいるがそれ以上に会えるよろこびが上回っているのか)ほどファクンドに恋をしている。
姉妹の恋愛模様については、色々あるのだが物語の核心となるので、ネタバレを防ぐためここでは割愛しようと思う。なかなか意味のわからないことをしている、とだけ。
日本の冬とアルゼンチンの夏の対照的な描写や、佐和子の所沢の家、ミカエラの部屋の描写が素敵で、とくに所沢の家に住みたくなった。
ラストは、よくわかんないけど登場人物にとってはハッピーエンドだったんじゃないかな、と思う。
まとめると、理解はできないけれど、読む分にはとっても面白くて、ページを捲る手が止められない物語だった。不倫や浮気ばかり出てくるけれど、どろどろしているかというと私にはそう思えなくて、むしろさっぱりしているような感じさえした。
一言、私だったらファクンドじゃなくてマティアス(アジェレンの元彼)を選ぶな。