社会をちょっと変えてみた、ふつうの人が政治を動かした七つの物語
大阪都構想の住民投票、アメリカ大統領選挙と、政治に関する話題で喧しい。
結果に関する私見は述べないが、SNSのタイムラインを見ると「(望む結果にならず)絶望した」「悲しい」という意見が少なくない。
その気持ちは、僕にもよく分かる。
特に、行政のリーダーを決める選挙は、僕らの将来を直接的または間接的に決定する。誰しも、将来は明るくあってほしいと願う。
意図しないリーダーが、意図しない方向に歩もうとする姿は憂鬱だ。
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特定非営利活動法人フローレンスの代表・駒崎弘樹さんは別の視点を提示している。
政治は、政治家が動かすだけではない。「世界は意外に、フツーに変えられる」と。
駒崎さんが書いた『社会をちょっと変えてみた〜ふつうの人が政治を動かした七つの物語〜』は、選挙以外で、個人ができるソーシャルアクションの事例7つ(+どのように政治に関わるか具体的な方法と手順)がまとめられている。
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例えば明智カイトさんは、性的マイノリティに関して問題提起をした。
「(自分と社会について改めて考えて)それまでずうっと世間を気にしながら生きてきた。性的マイノリティである自分たちにとっては、自分の思うように生きられず、生き地獄みたいなものです。なぜ自分はこんなにひどい思いをしなくちゃいけないのか。なぜ普通に生きられないのか。これって、社会や政治、法律がおかしいからじゃないのか、そう漠然と考え始めました」
(駒崎弘樹、秋山訓子『社会をちょっと変えてみた〜ふつうの人が政治を動かした七つの物語〜』P28より引用、太字は私)
明智さんは本の中で、このようなことも言っている。
「外から批判するよりも、協力したほうがいいなと思い直したんです。サポートして、政治家が働きやすい環境を作ったほうが良い政策ができるのではないかと思って」
(駒崎弘樹、秋山訓子『社会をちょっと変えてみた〜ふつうの人が政治を動かした七つの物語〜』P30より引用、太字は私)
その考えから明智さんは「政治と市民を結ぶ潤滑油」となるような行動を取っていく。議員事務所へのロビイングや、政治家を巻き込んだシンポジウムの開催。政治家や官僚に声を掛け、要望書を出す。
結果的に、性的マイノリティの問題にも繋がる児童虐待防止法やいじめ防止法の立法に関わることができた。その動きは広がり、性的マイノリティの問題について考える超党派の議員連盟の誕生にも至っている。
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注目したいのは、明智さんは会社員として働きながら、このような活動を行なっていたということだ。
ネットでの発信、週末にイベント開催、有給休暇を取得しての議員訪問など、会社員ができることを、できる範囲で意欲的に行なってきたに過ぎない。
特にSNS全盛期の今、「こんなことに困ってる!」と発信するのは簡単だ。Twitterでも良いし、noteにまとめて書くことでスキが集まるかもしれない。発信を続けていくことで、同じことに困っている仲間を見つけられるかもしれない。
もちろん、実際にソーシャルアクションを起こすには、それなりに熱量がこもった「想い」が必要だ。
・そもそも何に困っているのか
・どんな世の中を実現したいのか
・なぜあなたが解決したいと思うのか
それが言語化できたなら、ちょっとだけ前に進むだけ。
世界は意外に、フツーに変えられるかもしれない。
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昨日公開した与論島の記事も、立派なソーシャルアクションの事例だ。併せてお読みいただきたい。