育児日記 その3 〜朝霧JAM〜
久しぶりの育児日記は、特に下書きなく直接つらつらと。
10月6日、7日と富士山麓 朝霧アリーナ · ふもとっぱらで開催されていた朝霧JAMに家族で参加してきた。
家族とは、僕と妻と息子(生後8ヶ月)の三人である。
朝霧JAMとは、ざっくり言うと秋に開催される音楽フェスです。
常識的に考えたらフェスに行く理由がない
子どもが生まれると、旅行をしばらく控える家族もいる。
個人的には、正解・不正解はなく、それぞれの家族のポリシーがあって良いのではないかと思っている。
僕ら家族に関しては、
・事前に、入念な下調べをすることが前提で、
・なるべく旅行に行けたら良いよね
という考え方だ。
もちろん僕と妻もそれぞれ考え方が違っていて。
「このタイミングで飛行機に乗せても良いのではないか」「いや、早過ぎるのでは?」
「車よりも電車&新幹線で移動した方が早く到着できるのでは?」「自由度が高い車(レンタカー)をチョイスすべき」
みたいなことを、旅行のたびに協議して、認識を合わせている。
それを踏まえ、僕ら家族は東京で生活し、ざっくりと2ヶ月に1回ペースで旅行している。千葉県市原市、軽井沢、北海道、そして今回の朝霧高原(静岡県)で4回目ということになる。
9月に訪ねた北海道は「3泊と比較的長期 かつ 飛行機」ということもあり、かなり入念に準備を進めていた。今回の朝霧JAMは1泊ということでそれほど気を揉まなかった…というなら話は簡単なんだけど、何しろ野外&音楽フェスということで、babyにはやや荷が重い(耳への負担、野外という体力的な不安、天候面の不安etc)のではないかと、北海道旅行の数倍の時間をかけて「参加する / しない」の議論を重ねたと思う。
フェアでないのでことわっておくと、僕にとって朝霧JAMは最高のイベントの1つであるということ。
青空広がる空間の中で、GOOD LUCK HEIWA、トクマルシューゴ、OOIOOを観て超楽しくて。SPECIAL OTHERSとYOUR SONG IS GOODは言うまでもなくて。帰りの交通手段もあんまり決めてなくて、かろうじて終電間際にバス&新幹線で帰ることができたけど、そんな自業自得なアクシデントも含めて最高に楽しかった記憶しかない。振り返ってみると2009年のことだ。
その後も、
・警報が出るほど荒天に見舞われた2010年、
・仕事の都合で泣く泣く参加を諦めた2011年、
・深夜出発早朝集合かつ大所帯で臨む→ぶっ倒れてしまった2012年、
・前年の反省を踏まえて大人しかった(そしてスカパラが交通渋滞に巻き込まれた)2013年、
・ブルーハーブのリリックに呑み込まれた2014年、
・The Go! Teamと!!!で飲み過ぎ→ぶっ倒れてしまった2015年、
・前年の反省を踏まえて大人しかった(けどクラムボンが最高だった)2016年、
・妻の妊娠で参加しなかった2017年、
全然伝わらないと思うけど、
20代前半から参加しているだけに、何らかの個人的イベントを内包することの多い朝霧JAMには格別の想いがあって。今年初めて家族三人で参加する2018年は、帰宅した今もしみじみと想いを馳せてしまうほどに、意義深い時間だったと率直に感じている。
ということで、どうしても僕が「参加したい」寄りの方向で議論してしまわざるをえなく、そのエクスキューズのために先述のことわりを入れさせていただきました。
生後8ヶ月の息子がいるので多少コンサバな判断をして然るべきシチュエーションなのだけど、「●●を解決すれば行ける」「●●を我慢すれば行ける」という発想になってしまいがちだった。これは真剣に息子のことを心配する妻に悟られないように注意したけれど、まあバレますよね…。「ほんとごめん」と言うしかない。
安全と安心を担保するために、効果が測れない対策もリストアップした我々だが、悩みは尽きない
・イヤーマフをつける
・イヤーマフの下に耳栓をつける
・前方は危険。後方に位置する
・30分ごとに休憩する。音のあまり聴こえないキッズスペースへ行く
・急な天候変化にも対応できるよう、寒暖に備えたベビー服を持参する
・雨天時は早々に撤収することが基本だが、ポンチョも購入する
・キャンプはしない。近くの民宿を予約する
・(当然ですが)いつでも運転できるようにアルコールは一切飲まない
・息子のライフサイクルをなるべく守る(夕の離乳食は17〜18時)
・上記も含めて初日は2時間、2日目は4時間で撤収する
考えうるリスクを挙げつつ、対策を練る二人。
「イヤーマフの下にも耳栓を」という辺りは「心配し過ぎじゃない?(むしろ音楽聴けなくなるじゃん本末転倒じゃん!)」ということで、けっこう揉めました。
そもそも安全と安心は違うわけで。
安心はメンタル的なものなので、いくら「リスクは極力抑えてますよ」と言っても、人間側に不安が残ってしまったら安心にはならない。議論していく中で「う〜ん、突き詰めると『これで安心!』とはならないね」という若干疲弊した状況もしばしば生まれてしまった…。
いくらフェスが好き / 音楽が好きという人でも、赤ちゃんが生まれた後はしばらくフェスに行くことは諦めている方も多い。
もちろん、その「諦め」がどれくらいの濃度 / 深度なのかは分からない。「なあほりそう、俺たちもう良い大人じゃないか。子どもも生まれたし、20代のときみたいに見境なくフェスなんて行けるわけないだろう。分かるよな?」と間接的に窘められているような。(思い浮かぶ人の顔は一人や二人じゃありません)
実は、何度も「今年は諦めようか…」という結論を下した。
「今年はソニックマニア」のメンツも良いし、この日だけ夜遊びすれば良いじゃないかと。
それでも非日常空間に行って良かった
朝霧JAMに行く!
「ソニックマニアは止める。家族で朝霧JAMに行こう!」と僕が断固として決めたことが決定打となったはずだ。
妻だって不安が解消されれば旅行に行きたい派なわけで、リストアップと対策を改めて真剣にやり直した。
そうして「息子ファースト、早め撤収を原則で」という方針が決まる。
なのでタイムテーブルが発表され、僕ら夫婦がどちらも好きなクラムボンが16時20分〜演奏することを知っても、その決意は変わらなかった(いくらか揺らいだけど)。
丁寧に話し合うこと。
変哲もないことだけど、大切だと改めて感じた。
結論、行って良かったと思う。
朝霧JAMが非日常な空間で、そこでの経験はなかなか得難いものだったからだ。
例えば天候の変化。
特に朝霧JAMは山中に位置しているので、わりと頻繁に天気が崩れたりする。しかも今回は台風25号が北上していることもあり、開催前にはわざわざ公式が「開催決定」のアナウンスするなど参加者を相当やきもきさせていた。
初日は霧が深く、突如雨が降るなど、レインコートが欠かせなかった。
息子のために用意したポンチョも大活躍で、「ああ、買って良かった」と思わず唸るくらいだった。(夕方前は小雨だったので、撤収するほどではなかった)
ただ良く良く考えると、この天候で生後8ヶ月の息子を連れて、野外でそこそこ滞在することは、普段ではないなと思うわけで。
「早めに撤収」がポリシーではあるものの、さすがにチケットも買ったし遠出もしている。ちょっとくらいハイになって遊ぶ自由はあるわけで、ここに関しては妻も異論を挟むことはなかった。(キッズスペースにちょうど良い雨除けもあったし)
二日目は逆に熱中症が心配になるくらいの快晴!
富士山を間近に仰ぎ見ることもできたし、音も心なしかクリアに聴こえた気がする。レジャーシートを敷いて、疲れた息子が爆睡している。その様子を見てきた公式カメラマンが寄ってきて取材をしてくれる。「かわいい!」と言ってくれた若者も多数。
子育てのため家にいることが多い妻も、心なしか、フェス飯のハヤシライスをリラックスしながら食べていたような気がする。フォトジェニックな写真もいっぱいで、僕はお父やんとして「インスタあげたいマン」に変貌を遂げてしまった。
総じて。とても気持ちの良い時間を味わうことができた。
この旅行を計画し、実行に移せて、心から良かったと思うことができた。
補足:赤ちゃん連れてフェスに行くことを推奨しているわけではない。(ベストな形で行けたら良い)
「どんどん子連れでフェスに行こうよ!」なんて口が裂けても言えない。
たまたま僕自身が朝霧JAMに何度も行っていて、どこに何があるか / いつ頃混雑するか / 客層はどんな感じか等を把握していたことが、フェス行きの隠れた前提だったように思う。
フジロックやロッキンジャパンフェスも複数回行っているが、「来年はフジロックにも連れていきたい」と思うことは現時点で、ない。
朝霧JAMのことですら、来年のことは分からない。
ベストな形で行けたら良い。それが正直なところだ。
つまり。夫婦の見解や息子の成長 / 興味関心軸などに応じて、僕は来年の朝霧JAM行きの是非を決めることになると思う。もしかしたら一人で行くかもしれないし、息子と二人旅をするかもしれない。また三人で行けたら最高だと今は思うけど、その時々でベストの形は変わるから。
赤ちゃんを連れてフェスに行こうか迷っている方には、とにかく念入りに準備を検討し、夫婦や家族でしっかりと議論を重ねることを奨める。
言えるのはそれくらいだ。逆に息子ができたから言えたことでもある。
ちょっと、自分、成長したのかも。