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幸運や機会は待っていても訪れない(小杉俊哉『ラッキーをつかみ取る技術』を読んで)

なぜだか「運が良い人」って、周りにいる。

大して実力があるわけでもないのに、何だかひょいひょいとチャンスが与えられ、実際に結果を出している。素知らぬ顔をしていても、腹の中では嫉妬に狂っている。他人と比べても良いことはないのに、なぜアイツだけが……。

*

こんなことを20歳くらいのときに、考えていた。

なかなか性根の腐った若者である。

このメンタリティが何一つ良い結果をもたらさないと気付いたのは、今回のnoteで紹介する『ラッキーをつかみ取る技術』の著者、小杉俊哉さんの授業だった。

小杉さんが教鞭を執る「リーダーシップ論」は、大教室がみっちり埋まるほど人気の講義だった。

大袈裟でなく、マインドセットを変えるきっかけになったのだ。

あなたは毎朝電車通勤をしていますか?もしそうなら、電車の中で周りの人の顔をじっくりと眺めてみてください。皆、実につまらなそうな顔をしていることに気がつくでしょう。無表情であればまだいい方で、多くは積極的に(?)不機嫌そうな表情を浮かべています。人によっては世の中が今日終わるかのような絶望的な顔をしている人もいます。眉間には皺が寄り、口元はへの字に曲がっています。
電車の中の不機嫌な顔は人ごとではなく、その中の一つの顔があなたの顔ではないですか。(中略)このような顔の人にラッキーが訪れることが想像できるでしょうか。その人たちにラッキーは似合いません。なぜでしょうか?
それは、多くの場合ラッキーは人を媒介にしてやってくる、つまりラッキーを運んでくるのは人、だからです人には感情があります。あなたがもし、ラッキーを運ぶとしたら、不機嫌そう、不愉快そうな顔をした人にラッキーを届けたりしたいと思うでしょうか。
(小杉俊哉『ラッキーをつかみ取る技術』P42〜43より引用、太字は私)

言われてみれば当たり前のことだけど、なかなかどうして、そのことを自覚せずに生きていた。

*

さて、本書は「ラッキーをつかみ取ること」は技術だと主張する。

ラッキーが起こる人にはラッキーが起こるべくして起こっています。彼らは皆共通する考え方、行動をとっている。いつラッキーがやってきてもいいように普段からそれに備え、ラッキーがやってくるように呼び込むような状態を保ち、ラッキーを見つける行動をとり、ラッキーを取りに行く。そして一度つかんだらそれをモノにするまで決して離さない。
その一つ一つの段階の行動を知り、一連の行動を意識して行うことで、誰でも、ラッキーをつかむ確率を格段に高めることができるのです。
(小杉俊哉『ラッキーをつかみ取る技術』P4より引用、太字は私)

宝くじで1億円当たる、というのは受け身のラッキーだ。

自分の意図しないところで得られる幸運は確かに嬉しいけれど、再現性は低い。ラッキーは起こすものでなく、起こるもの。そんな風に捉えていたら、チャンスを必然にすることはできない。

心理学者のジョン・D・クランボルツさんは、計画的偶発性理論を提唱している。

ターニングポイントの8割が「本人の予想しない偶然の出来事によるもの」だと言う。しかし、ただ偶然を待つのでなく、予期せぬ出来事への備えや、変化に対してフレキシブルに行動することが大切だと説いている。

本書でもクランボルツさんの研究を引用し、

・好奇心を持つこと
・持続すること
・楽観的であること
・リスクを恐れないこと
・柔軟な姿勢で臨むこと

の5つが大切だと書かれている。

どれも当たり前のことのように思われるかもしれない。

だが実際は、日々の忙しさにかまけて、リスクを取らずに安全策に終始してしまうケースは少なくない。

だけどそれは、あまりにもったいない。

常にエナジーレベルを高く持ち、成功体験を積み重ねるべきだ。目の前のラッキーを確実につかみ、自らの挑戦を加速させる。

「失敗は成功のもと」という諺もある。好循環を作れるかどうかは、自分次第なのだ。

前向きなメンタリティとセットになることで、「技術」という言葉は輝きを増す。

僕自身も、「ラッキーをつかみ取る技術」を磨いていきたい。

──

*おまけ*

小杉俊哉『ラッキーをつかみ取る技術』ですが、読書ラジオ「本屋になれなかった僕が」で配信しています。お時間あれば聴いてみてください。

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堀聡太
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