『持続可能な発展の話』①
はじめに
あふれるゴミ、止まらない温暖化、生物多様性と水の危機。
環境問題と云うのは結局「水」と「空気」と「土」のこと。
かつての公害問題は「水俣病」「新潟水俣病」「イタイイタイ病」「四日市ぜんそく」だった。
この本は、環境と経済という視点に立った環境問題の初学者向け概説書とのこと。
はじめに
経済学的な観点で環境問題を論じようとすると「環境保護か開発か」「個人の利益か公共の利益か」と云う二元論的に陥りがちだ。
この本の著者は、そうした単純な論ではなく、先ず「環境ガバナンス」や「コモンズ」などの基本的な事柄を解説し、その上で「プラスチックごみ」や「再生可能エネルギー」「生物多様性」などの旬なテーマを取り上げて、あり方を検討する。
日経読書欄 2023.07.22.より
人新世(ひとしんせい/じんしんせい)
「人新世」もともと地質学の用語。
人間の世紀と云うような意味。
現代は、完新世に属しています。
しかし、科学技術の発展や人口増加、経済成長を背景に、人類が地球環境に与える影響がかつてなく高まっていることを踏まえ新たに「人新世」と云う地質世代を作るべきではないか?と云う議論になっています。p.ⅱ
【グレート•アクセラレーション】
本文p.ⅲ 参照 図表 序-1
『 人新世の「資本論」』
SDGs 熱狂派vs.冷笑派
持続可能な発展と云う概念
環境:人間や社会にさまざまな便益をもたらしてくれる。
「自然の恵み」と云う表現は、日本語として美しい表現ですが、英語に訳すと「生態系/ecosystem」です。
無形の有用物といった意味合いです。
p.3 図表1-1 環境と人間の関係①
生態系サービス
生態系サービス:環境(ストック)からフローへ
環境を守るとは、ストックを守る。p.3
なぜ環境問題は起こる?
生存基盤であり社会経済基盤でもある環境を人間は しばしば破壊する。
この環境破壊こそ、環境と人間の関係を考えるポイントです。
p.5 図表1-2 環境と人間の関係②
グリーン成長
グリーン成長戦略とは、太陽光発電やバイオ燃料などの「グリーンエネルギー」を積極的に導入・拡大することで、環境を保護しながら産業構造を変革し、ひいては社会経済を大きく成長させようとする国の政策です。
脱成長かグリーン成長か pp.21
持続可能な発展
国連人間環境会議 1972年 ストックホルム
先進国と発展途上国との間での鋭い意見対立があった。pp.22〜30.
経済成長はGDPで測る。
持続可能な発展は何で測る。
① 時間軸
② ストック (資本)
③ ウエルビーイング
④ 環境と社会
経済成長は、あくまで手段であり、ウエルビーイングの実現と云う目的を実現出来るかどうかが肝要になる。p.36
▶ 持続可能な発展と云う概念 pp.1〜36.
環境ガバナンス
「みんなのもの」をどう守るか
コモンプール財 (経済学の概念)
図表 2-1 経済学による財•サービスの分類とコモンプール財 p.40
【Weblio】公共財の概要
ガバナンス (governance)
舵を取る
▶ 環境ガバナンス pp.37〜56.
ゴミ問題と循環型社会
循環型社会とは:自然環境の輪の中に物質循環が収まらくなり(例:ゴミ) 自然環境の中に収まるような社会を創ること。
p.66 図表3-1 循環型社会と非循環型社会
▶ 循環型社会 pp.57〜96.
地球温暖化と脱炭素社会
地球温暖化の基礎知識
地球全体の平均気温の上昇
原因:温室効果ガス(GHG)の大量排出 二酸化炭素
1997年 京都議定書
2015年 パリ協定
脱炭素社会への道のり pp.114〜136.
▶ 地球温暖化と脱炭素社会 pp.97〜136.
生物多様性と自然共生社会
① 遺伝子の多様性
② 種の多様性
③ 生態系の多様性 pp.138〜143.
生物多様性を脅かす要因
① 開発などの人間活動
② 保全から保護に対する縮小
③ 侵略的な外来種
④ 気候変動 pp.150〜155.
自然共生社会 pp.156〜166.
▶ 生物多様性と自然共生社会 pp.137〜166.
水資源と環境問題
水と人間 水の星 地球
① 水資源問題
② 水環境問題
③ 水災害問題
日本の水道事業
事業形態
日本の水道事業は、今 公衆衛生から産業としての水道事業に位置づけを大きく変えようとしている。p.183
下水道だけで水質は問題解決しない
水災害問題の考え方
文明が進めば進むほど 天然の暴威による災害が その激烈の度を増す
寺田寅彦
文明が進むに従い 人間は次第に自然を征服しようとする野心が生じる。
pp.188〜190.
災害リスクの要因 p.190
ハザード (洪水)
暴露 (洪水にさらされる人や資産・財産)
脆弱性 (治水の程度)
流域治水 p.196
河川整備基本方針と河川整備計画
pp.197〜202.
▶ 水資源と環境問題 pp.167〜202.
おわりに
総合的な環境ガバナンス論
環境問題とは何か
実践・政策志向
環境ガバナンス論の細分化への弊害
環境破壊を食い止めようと思ったら、人々の心がけやモラルに訴えかけようとするだけでなく、市場と政府における意思決定を変えなければならない。p.206
▶ おわりに pp.203〜210.
【追記】日経書評 07/22
『持続可能な発展の話』
宮永健太郎著:日本経済新聞書評
【岩波新書/ブックレビュー】
2023.06.03.
今後、随時 加筆・修正していきます。
この後、しばらく「つん読」で発酵させておきます。
2023.06.04. 加筆
2023.07.22. 追記
2023.07.23. 加筆