育つ優しさ ~Peru Cruz Del Norte washed~
先に書いた「コーヒー豆をビール瓶で保存する理由」 でご紹介した、当店の瓶詰コーヒー豆の「瓶詰だからできた」ことを体現する豆が現れました。
カッピング評価の高い豆なのですが、焙煎直後は、固いえぐみを感じる地味な豆で、正直、おススメできるポイントを探すことが難しいと感じる豆でした。とある焙煎の品質ワークショップで課題として使われた豆なのですが、開催側のみなさんも参加したロースターさんたちも皆さん「難しい」とおっしゃっていた豆だったので、私たちはすぐにはリリースせず、瓶内でしばらくコンディショニング(=エイジング)を続け様子を見ることにしました。
それから1ヶ月。開栓した瓶からは甘いコーヒー豆の香りが広がり、淹れてみるとえぐみなどのネガティブな味が消え、柔らかい甘味にほのかなスパイシー感を纏った、とても優しい味わいになっていました。
チョコレート、シナモンやローリエのようなスパイス感、青りんごやチェリーのような酸に柑橘のようなほのかな香り、和三盆のような細やかな甘味を感じるこの豆は、一日のどのシーンにも寄り添うように合わせられる万能選手となりました。
「加圧熟成」でこれまでも1年待ったらまったく違う豆に思えるような良い変化を見せた豆がありましたが、今回は「優しさが育った」と感じる大きな変化を見ることができました。「加圧熟成」の妙を是非ご賞味ください!
この豆を当店では、
・焦げ味が出ないように焙煎し(焦がさない焙煎)
・焙煎直後から耐圧容器内で圧をかけて保存する(加圧熟成)
ことで、さらにまろやかな味が持続することを目指しています。
味の定着には、焙煎してから1週間もしくはそれ以上、二酸化炭素で圧をかけて酸素に触れない環境下(ビール樽内やビール瓶内など)でコンディショニングを行います。
これで、様々なコーヒーの持ち味が、バラバラではなく角がとれてまろやかにまとまります。
そして、樽から出した後も、空気が触れないような容器の中であれば、さらに味は良いほうへ変化していきます。
お客様のお手元で、是非コーヒーの成長をお楽しみいただければと思います。
当店のコーヒーは、沸騰直後のアツアツのお湯で淹れることを推奨しています。
焙煎による苦味がないので、お湯の温度を下げる必要がなく、逆に高い温度で淹れることで豆が持っている個性がはっきりと出ます。
ペーパーフィルターで淹れて、すっきりとしたフレーバーを楽しむのも良いですが、コーヒー豆のオイルも一緒に抽出されるフレンチプレスのような淹れ方も、甘味が余すところなく出てオススメです。
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