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出雲そして松江へ(その5)〜フィナーレは足立美術館で眼福

(承前)

今回の旅はコンサートがメイン、したがってあまり観光モードではなかったので、松江での最終日に何をするか、あまり考えていませんでした。場合によっては、ドジャースとメッツのリーグ優勝決定戦・第1戦でも観ようかとも思っていたくらいです。

ところが、コンサートに一緒に行った島根在住の方が、「是非、足立美術館を見て帰って欲しい。車でご案内する」とのオファー。そこまで言ってくれるのならと、お言葉に甘えることにしました。

千賀が打たれドジャースが先制したところを見届け、10時にホテルを出発、安来市にある足立美術館へと車で向かいました。

美術館の創設者、足立全康は明治32年・1899年に、現安来市の貧しい農家に生まれました。木炭運びなどで家計を助けていたのですが、大阪に出て事業を興します。高度成長時代の追い風もあり、事業を拡大しつつ、日本画の収集を始め、1970年に故郷への恩返しと、足立美術館を創設しました。

美術館に入り、最初に目にするのは、日本画ではなく、とんでもなく美しい庭園です。イギリスを含め、様々な庭園を目にして来ましたが、ここは特別です。

自然とそれを整える技術が調和し、“芸術“を感じさせてくれます。目の前に広がる緑、石、ほんの少し色づいた木の葉、背景の山、それぞれが高解像度の映像のように、目に焼きついてきます。

後方の山からは、一筋の滝が流れています。あまりにも自然なので天然の滝かと思いましたが、「亀鶴の滝」という人工のもの。横山大観の作品「那智乃滝」をイメージした“作品“です。

季節季節で、さまざまな表情を見せるであろうこの庭園、気軽に訪れることができる人がうらやましい!

お庭を堪能した後は、日本画のコレクション。足立美術館は、大量の横山大観作品を所有することで有名です。1979年に、北沢バルブの創業者が収集した“北沢コレクション“から、作品群を購入したことが大きな出来事だったと紹介されています。

横山大観始めとする日本画のコレクションから、展覧会が構成されています。現在は「日本絵画の開拓者たち」。岡倉天心が創設し、大観や下村観山らが再興したのが日本美術院。主催した院展で活躍した画家たちの作品を観ることができます。

大観室では、「秋の横山大観コレクション選」。コレクションの一部なのですが、これまで大観作品をこれほどまとめて鑑賞したことはありません。時代により変化しながら、新しい芸術を創造しようとした姿を感じました。


そしてハイライトは、創設者が<何が何でも手に入れるのだと八方手を尽くした>(公式HPより)、六曲一双屏風「紅葉(こうよう)」です。赤く色づいた木が前面に広がり、背景に流れる水の青のコントラスト、豪華なのですが、落ち着きも感じられます。

戸外の紅葉にはまだですが、大観のこの大作で一足早く秋の彩りを楽しむことができました。この作品は秋限定公開のようです。他にも、前述の「那智乃滝」、「無我」、「海潮四題・秋」などなどが展示されています。

美術館の最後は、魯山人館で北大路魯山人のコレクションを拝見。庭園・絵画・焼きもの、眼福でした。

魯山人を観ていると、少しお腹が空いてきました。連れて行って頂いたのは「奥出雲葡萄園」。島根にはいくつかワイナリーがあるのですが、その一つ。葡萄畑を望む場所にカフェが併設されているので、木次乳業のチーズをつまみながらワイン、そして本格的なピザを楽しみました。最後は、ワインを購入して空港へと赴いたのでした。

出雲大社、竹内まりや&山下達郎(ちょうど、車中のラジオではNHK FMの特番)、そして人との縁に恵まれた旅となりました。

神さま、みなさま、ありがとうございました!!


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