ジョン・フォード“騎兵隊三部作“コンプリート(その1)〜「アパッチ砦」
文藝春秋誌に蓮實重彦が書いた“ジョン・フォードこの20本“に刺激され、「リオ・グランデの砦」を観たことについては記録した。
この映画は、“騎兵隊三部作“の3本目だが、やはりコンプリートしなければと、未見の1作目「アパッチ砦」を観ると共に、2作目「黄色いリボン」を見返した。
蓮實氏は、「アパッチ砦」と「リオ・グランデ」をベスト20に挙げ、「黄色いリボン」はエントリーしていない。<あの有名な主題歌がどうしても好きになれず、それにふさわしいショットの連鎖に緊迫感がないからです>と書いている。
ただ、楽曲“She Wore a Yellow Ribbon“については、歌詞付きで唄われるのは「黄色いリボン」のみだが、メロディは3作全てで流れる。“ショット“については、どうだろう?
まずは「アパッチ砦」である。
「アパッチ砦」に駐屯する大尉(Captain)の ヨーク(ジョン・ウェイン)らの上官として、中佐(Lieutenant Colonel)のサーズデー(ヘンリー・フォンダ)が赴任する。サーズデー中佐は、いかにも固い人物であり、融通が効かなそうである。以前にも書いたが、フォンダはどんな役でも上手い。
この二人を中心としたドラマだが、第二の軸として恋の話がある。オルーク(O'RourkeーO'はアイルランド系の名前)軍曹(Sergeant)の息子、ミッキーは陸軍士官学校(West Pointー学校のある場所を通称とする)を卒業し、少尉(Second Lieutenant)として帰ってくる。つまり、叩き上げの父親よりも上の階級である。その彼が、サーズデー中佐の娘、フィラデルフィアと出会う。彼女を演じるのは、大人になったシャーリー・テンプルである。
軍隊における階級の絶対性と、それによる悲劇。一方で、立場を超えた敬意など見どころ満載。また、本作で描かれるアメリカ先住民は、必ずしも単純な敵ではなく描かれているところも興味深い。
馬に焦点が当てられた映像は、「リオ・グランデ」同様、エンターテイメントとしての側面を盛り立てているし、ユーモアの要素もしっかり入っている。
「アパッチ砦」、予想以上に面白い映画だった。次は、「黄色いリボン」に進もう
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