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是枝弘和監督「怪物」〜萩尾望都作品を連想するのは私だけだろうか
“怪物、だーれだ“
是枝裕和監督「怪物」を観た。カンヌ映画祭で坂元裕二が脚本賞を受賞した作品である。
“怪物“を広辞苑第七版で引くと、<①怪しい物。ばけもの。 ②比喩的に、性質、行動などが測りがたく、力量のすぐれた人。>とあった。この映画の“怪物“はどちらなのだろう。
シングルマザーの麦野早織(安藤サクラ)と一人息子・湊(黒河想矢)の生活。ちょっとこれは重苦しい映画かと思ったが、ストーリーは“軽やかに“展開していく。
流石にカンヌで表彰されただけある構成で、観るものを引き込んでいく。映画の中に描かれている真実を観客に考えさせながら、物語は進んでいく。
この映画について書くことは難しい。なぜなら、知識を持たずに観ることをお勧めしたいから。
それでも、感じたことを一つコメントする。白か黒かで、安易に断罪することが横行しているが、真実は一つではないはずである。
前述の二人を始めとする役者陣が、そのことを表現してくれる。永山瑛太、田中裕子、子役の柊木陽太と彼の父親役の中村獅童などなど。皆、素晴らしい。田中裕子の姿を久しぶりにスクリーンで見たが、まぁ凄い!
トリュフォーの映画のような印象も受けつつ、昨日まで書き綴った萩尾望都作品に通じるところがあるように感じる。
“‘感じ”というか、かなり近い。二人の少年、彼らの抱えた謎、親子の関係。彼らを支えるであろう大人たち。是枝監督は、吉田秋生の「海街Diary」を映画にしているくらいだから、萩尾作品を読んでいる可能性は極めて高いと思う。
私にとっては、もちろんポジティブな側面であり、それだけ深い世界を映像化しているという証左である。
坂本龍一の音楽も心にしみる。
美しい映像も含め、是非映画館で観ることをおすすめする
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