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NICU⑧|二つの先天性疾患


“世界一幸せな書類申請” を終え一度帰宅し、夕方に妻と息子の面会へ。


いつも通り妻との面会からだったが、昨日より入院患者が一気に増えたようで、あらゆる妊婦さんが集まっていた。

その中でも出産間近の「陣痛待ち」の方が多く、少しばかり張り詰めた空気が漂う。

また、外国人の方もおり、病院食の一部が宗教的に食べられないなど、そういった問題も出てきており、少しバタバタしているようだった。


そんな中での面会だったが、改めて出生届を提出してきたことを報告し、その後も息子との将来の話に花を咲かせる。

また、出生届の提出が済んだことで、病院としても「診察券の発行」や「入院書類の更新」などが必要になり、この日はそれも併せて行った。


そして、妻との面会後、二人で息子の待つNICUへ。


昨日言われていた「体温が低い」ということに関しても、改善されてきており、ニット帽も面会途中から取ることができた。

ニット帽を取ると頭が “蒸れ蒸れ” で、それはそれでまた可愛い(笑)


気になる点があるとすれば、身体の一部が乾燥しており、肌が荒れていることくらいだったが、そこはしっかり「ワセリン」などで対応してくれていた。


本日も容態は安定しており、引き続き経過は良好。

点滴の本数も減ってきており、手術に向けて一歩一歩着実に進んでいた。


そして、「先天性内反足」についても、明日8月27日に「整形外科」の診察を行うということで、診察後に夫婦で説明も受けることになった。




そして翌日、8月27日。

息子との面会前に「先天性内反足」の説明。
診察自体は午前中に終えており、その結果報告という形だった。

結論から言うと「『先天性内反足』の診断だが、比較的 “軽症” である」ということだった。

息子の場合は、足の向きこそ完全に内側に入っているが、ガチガチに固まっているわけではなく、手で正常な位置に動かせるほど柔らかかった。

そのため、今後も手術の必要もなく「矯正のみ」の対応となり「ほぼ100%治る認識で良い」という見解だった。


しかしながら、この大学病院の整形外科は小児科の専門は無く、退院後は都内にある別の「小児医療センター」を紹介することになるとのこと。

そして、「完全大血管転位症」の手術を控えていることもあり、まずはそちらが最優先となる。

従って、NICU入院中はシーネで簡易的に固定して経過を見ていくということになった。


“軽症” であることは、本当に「不幸中の幸い」であった。

数年は通院が必要であるものの、矯正だけで対応できるくらいの症状で本当に良かった。


「『完全大血管転位症』と『先天性内反足』という “二つの疾患” と向き合いながら幼少期を過ごす」

それが息子の選んだ人生なのであれば、「親として愛を持って受け入れ、サポートしていく」と改めて心に誓った。


また、正式診断がされたことにより、医療チームからも一つ提案を受ける。


それは「染色体異常」の検査の受診だった。


息子の “先天性疾患が二つ” というのはかなり稀であり、受診を強く勧められた。
(出生時に受ける「新生児スクリーニング検査」とは別)

私たちとしても、今後の見通しとしても認知しておきたいという思いで一致し、後日説明を含めた手続きを行うことになった。


誕生までの “激動の日々 を経て、生まれてからも、連日落ち着かない日々が続く。

しかしながら、そんな中でも一つ一つ状況を理解し、息子自身が壁を乗り越え、私たち両親や家族、医療チームなど、全員が同じゴールを目指し、最善を尽くし闘っている。

そして、その中心にいるのが「凰理」であり、みんなに愛されながらも、その存在によって “周りを巻き込み一体感を創り出している” ということが、父親として誇らしい。


後に、どんどん強くなるこの思いは、この頃から芽生え始めていた。


つづく


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