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NICU⑥|息子の成育日記


8月25日、この日も面会だったが、NICUは「スマホ(電子機器)の使用が禁止」であり、デジカメしか撮影ができないため、実家でデジカメを借りてから病院へと向かった。
(両親は北海道に行っているため、家には誰もいないが…)


妻の入院も三日目となるが、この頃になるとメンタルの波が激しくなり、深夜に息子を想い、涙する回数が多くなったようだった。

また、痛み以外にも悪寒などの症状も出たり、しんどさのピークはこの辺だったように思う。

しかしながら、出産翌日から取り組んでいた「搾乳」の成果がこの日から徐々に出始め、それと共に少しずつメンタルも上向きになり始めていた。


そして妻との面会も終わり、そのまま二人で息子の面会へ。

この日は “メインの担当看護師” が出勤であり、先日言われていた「成育日記」を見せていただいた。

面会時間外の様子や、実際の処置の報告などが記載されており、私たちにとっても非常に助かるものだった。

また、明け方に少し目を覚ますタイミングもあったとのことで、「目が少し開いた写真」を現像してプレゼントしてくれた。

まだ、人工呼吸器が鼻と口に付いており、顔の浮腫みは残っているものの、目尻が下がり、笑ってるように見えるこの写真が私は凄く好きで、家ではずっとこれを見てニヤニヤしていた。


そして、昨日からの経過報告。

容態も安定しており経過は良好だが、体温が少し低いとのことで、この日は “ニット帽” を被り、ベッド周りの温度も通常より上げて管理をしていた。

眠る薬は引き続き投与中ではあるが、段々と減薬もしており、もぞもぞ動く回数も日に日に増えているとのことで、順調にいけば近日中に口の人工呼吸器の抜管などもできる可能性はあるとのことだった。

BAS手術後の容態は本当に安定しており、妻と同様、身体的な回復も順調で親としては嬉しい限り。


しかしながら、少しばかり「黄疸」が出てきており、体温の経過次第でそちらの治療(光線治療)も開始していくとのことだった。

私自身、新生児の頃に「黄疸」が特にひどく、短期間だが入院していたようなので、そのせいなのかとも思ったが、あまり遺伝的要素はないとのこと。

黄疸も本来は懸念する病気の位置づけなのだろうが、「完全大血管転位症」、更には「先天性内反足」という “二つの疾患” を抱えている息子の親としては、どうしてもそちらに意識が向き、最後まで懸念点として捉えられなかったのが正直なところだった。


ただ、どんな症状でも医療チームとNICUの看護師の皆さんは、本当に息子のために尽力してくれていた。

「これが仕事だから」と言われればそれまでかもしれないが、新生児という特異な患者に対し、きちっと向き合って対応してくれていることに頭が上がらない。

本当に素晴らしい方々だと思うと共に、私たち家族は良縁に恵まれたといつもいつも思う。


そして、この日の面会も終了。

息子を置いてNICUを出るのはどうしても寂しさがあり、日に日にそれも増してくるのが自分でもわかる。

しかし、毎度気持ちを押し殺し、(乗り越えるべき壁を乗り越えて、一歩一歩着実に歩む…)と言い聞かせながら、この日も病院を後にした。


つづく


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