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『菜根譚』 – 日めくり文庫本【11月】

【11月15日】

菜根譚後集 七七

 伏すこと久しきものは、飛ぶこと必ず高く、開くこと先なるものは、謝すること独り早し。此れを知らば、以って蹭蹬そうとうの憂いを免るべく、以って躁急そうきゅうの念を消すべし。

 鳥の中でも、長く伏せていて力を養っていたものは、いったん飛び上がると、必ず外の鳥よりも高く飛び、また、花の中でも、早く花を開いたものは、必ず外の花よりも早く散る。この道理をわきまえておれば、中途であし場を失ってよろめく心配を免れることもでき、また、成功をあせる気持を消すこともできる。

——洪自誠『菜根譚』(岩波文庫,1975年)306ページ


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