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【ココロコラム】人はお金に汚いのか、きれいなのか?
今回は、経済学の先生が行った実験をご紹介してみたいと思います。
心理学以外の分野での実験で、心理学的な発見があるというのは、面白いことだと思います。
経済学の教授のレオナルド・ベッケッティが行ったのは、経済学だけにお金に関しての実験です。お金をやりとりするゲームをさせて、どのようにお金を使ったとき、あるいは使わなかったときに、人は幸福を感じるのかを調べたのです。
その結果は、意外なものでした!
普通に考えれば、たくさんお金が入ったときに、幸福度は最も高くなりそうです。
さらに、他の人よりもたくさんお金を得ることができれば、喜びはより大きくなりそうです。
もっと言えば、人からお金を奪ったときにも、愉快を感じる人が少なくなさそうです。そういうお金に汚い、欲望にまみれて、自己中心的な人間像というのは、すぐに思い浮かびます。
実際、そういう人もたくさんいるでしょう。でも、それが本当に大多数の人なのでしょうか? それが本当に人間の本性というものでしょうか?
人は、「悪い性質」こそを、人間の本性と考えてしまいやすい傾向があります。
たとえば、良い面と悪い面が半分ずつな人がいたとしたら、「いい人のふりをしているけれど、本当は悪い人」というふうに、とらえてしまいがちです。
良いことをすれば、「裏があるのでは?」と疑い、悪いことをすれば、「それが本当の顔だ!」と思いやすいのです。
でも、実際には、悪い面が本性のこともあれば、美しい面が本性のこともあります。
お金に関しては、美しい面のほうが人間の本性のようです。
お金に関して、人が最も幸福を感じたのは、お金を受けとるときではなく、お金を人に与えるときだったのです。
そう言うと今度は、お金をまいて、人が争う拾うところを見て喜んだ、紀伊國屋文左衛門みたいな人を思い浮かべてしまうかもしれませんが、そうではありません。
いわゆる社会福祉的なお金の使い方が、人の幸福度を最も上げるのです。
たとえ自分がソンになっても、そのお金で誰かが助かることに、人は幸福を感じるのです。
まるで道徳の教科書のようではありますが、それが人の本性なのです。
キレイな話だとウソのように感じがちですが、キレイな真実だってあるんです。
このことは、私自身の経験とも合致します。
病人だった私は、ずいぶん人に助けられてきました。世の中には、冷たい人ももちろんいますが、親切な人も意外なほどいます。
回さなくてもいい仕事を回したり、自分のトクにはまったくならないのに、ソンになることさえあるのに、助けてくれる人がたくさんいます。
その人たちのおかげで、私は今も生きていられます。
こういう助け合いの幸福こそ、人類をここまで存続させている、大切な本性のひとつなのかもしれません。
(津田秀樹)
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