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話してもきっとわからない。それでも向き合って話そう。『カモンカモン』


白黒映画をみたのはたぶんはじめてだったけど、大好きな映画のひとつになった。
というかわたしの中では、今年イチかもしれない。

NYでラジオジャーナリストをやっているジョニーと、9歳の甥っ子ジェシー。
この二人の突然はじまった共同生活を描いた物語。

特別何かが起こるわけでもなく、日々の何気ない場面がほとんどなんだけど、観終わったあとにほわほわと考えを巡らせてしまうような。
この映画に出てくる言葉の全てとは言わないけど、刺さるものがきっとあるし、人との関わりが薄れている現代にピッタリな気がする。


『大人も子供もどっちもどっち』

わたしは大人だから、どちらかと言えばジョニー目線で映画をみていたけど、ジェシーの言うことや、ジョニーがインタビューしている子供たちの素直な言葉にハッとさせられることが多々あった。

子供は大人の世界を知らないし、大人は子供の世界を忘れているのがほとんど、なのかも。

わたしに子供はいないし、関わり方もよくわからない。

でも、こういう意味でお互いの知らないことが半々だとするなら、お互いの部分的なところを吸収しようと思うなら、“大人も子供もどっちもどっち“なんだと思う。

子供より大人の方が経験が多いのは当たり前で、親であれ学校の先生であれ、子供の先に立って何かを教えるというという成り立ちがある一方、大人も、子供から教わることがあるということを素直に受け止められたらよいなあ。

子にイライラしてしまって、なかなか理想通りの行動ができないことの方が多いかもしれない。
子供を持つ友人からよく聞く。子供が言うことを聞かず、必要以上に怒ってしまう。「怒ってしまった後は、反省会している」と。

そんなときに「大人も子供もどっちもどっち」と思い出せたら、どうだろう?
ほんのちょっと気持ちがラクになるかもしれない。

…なんて、子供経験外のわたしが言うことだから理想でしかないのかもしれないけど、なんとなくそう感じた。

『話してもきっとわからない。それでも向き合って話そう。』

大人の世界では、嘘偽りのない善良な正直者が馬鹿を見る。
真っ直ぐなことは良いことなのに、傷ついたり、生き抜くことが難しかったりする。

そんな中でも真っ直ぐにならなきゃいけない場面があって、そこで真っ直ぐを突き通す強さが必要なんだなあ。受け入れる柔軟さも。

誰かとぶつかり合うことはこわいし、出来れば避けたい。
そう感じる相手に対しては「理解してもらいたい」「受け入れてほしい」という願望を持っているのがほとんどだと思う。

それが、"願望"から"憎悪"に変化することがあって、前向きなことが、いつの間にかネガティブになってる。

正直言って自分にも心当たりがあったり。

自分のことを誰かに完全に理解してもらうことってかなり難しいけど、そんなのも前提で話す必要性。
分かり合えないかもしれないけど、ちょっと話してみよう。

受ける側も、理解しよう!と張り切るより、ちょっと話を聞いてみようかなあと、まずは気軽なスタンスで。



ちなみにタイトルになっている『カモンカモン』は、『おいで!おいで!』という意味ではなく『先へ!先へ!』という意味だそう^ ^

解説
「20センチュリー・ウーマン」「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマンドラマ。ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。「ジョーカー」での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。ジェシー役は新星ウッディ・ノーマン。

2021年製作/108分/G/アメリカ
原題:C'mon C'mon
配給:ハピネットファントム・スタジオ

オフィシャルサイト
スタッフ・キャスト
監督
マイク・ミルズ
製作
チェルシー・バーナード リラ・ヤコブ アンドレア・ロングエーカー=ホワイト
脚本
マイク・ミルズ
映画.com


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