「1両」「1銭」っていくら?意外と知らない江戸のお金事情。『浮世絵と芸能で読む 江戸の経済』(笠間書院)が面白い
お金について考えるとき、その前提になるのは「円」が基軸の世界。でも、日本円を使うようになったのは、明治以降。じゃあ、それまでの時代には、どんなお金が流通していたのでしょう?
じつは、江戸時代には「お金」が何種類もあったのです。
芝浜という落語には、主人公政五郎が拾った財布の中身を奥さんが見て叫ぶセリフがあります。「銭(ゼニ)じゃない、金(カネ)だよ」。「銭(ゼニ)」と「金(カネ)」ってどう違うのでしょう? 「一両」とか「一銭」って、現代のお金だといくらくらいなのでしょう?
そして、武士の給料として支払われたのはなんと「米」。江戸時代の武士といえば、仕事もなく、傘張りのアルバイトをしているイメージですが、御徒町で朝顔売りのバイトも流行っていたとか。でも、どうして武士は貧しかった? そのカラクリは、江戸時代の「貨幣制度」にありました。
文化が花開いた江戸時代、その鍵を握るのは家康がつくった複雑な「三貨制度」。宵越しのカネは、持たないんじゃなくて、持てなかった!? 意外な江戸のお金事情をまとめました。このエピソードを聞くと、いま、私たちのお金が「円」に統一されているのがありがたく思えるかも。
(そして、「徳川埋蔵金」の物理的巨大さにもビビる。冒頭3分だけでもどうぞ)
▼紹介した本
『浮世絵と芸能で読む 江戸の経済』
櫻庭由紀子(著)笠間書院 2023
▼参考
日本銀行金融研究所 お金の博物館 https://www.imes.boj.or.jp/cm/history/
▼「お金とは〇〇だ。」を考える「ほんのれん」旬感本はこちらの5冊!
『浮世絵と芸能で読む 江戸の経済』
櫻庭由紀子(著)笠間書院 2023
▼「お金」シリーズはこちら。ほかの旬感本は、こちらで紹介しています。
選書のプロセスで出会った15冊の「お金本」について紹介しています↓
『ふしぎなお金』
赤瀬川原平(著)筑摩書房 2022 を紹介しています↓
『〈ヴィジュアル版〉 貨幣の歴史』
デイヴィッド・オレル(著)角敦子(訳)原書房 2021 を紹介しています↓