常盤貴子さんと桜色の京歩き|「そうだ 京都、行こう。」の30年
京都を舞台とする数々の作品出演はじめ、昨今は京都府文化観光大使としても、古都の魅力発信に貢献する俳優の常盤貴子さん。京都好きは10代の頃からで、デビュー以来、わずかな時間を見つけては新幹線に飛び乗っていた、という筋金入り。
「冬の京都の、キーンと冴えた空気感も好きですが、ふらっと来たくなるのは、やっぱり春かな。あのCMの名コピーに何度、誘われて来たことか(笑)。ね? お誘いいただいているのならば……って、気分になるでしょ?」
【ポスター’10 春】
そんな常盤さんと、この春のとっておきの桜を見つけに京歩き。まずは、これまで「そうだ 京都、行こう。」春のキャンペーンにも度々登場している京都屈指の桜名所、仁和寺へ。こちらは886(仁和2)年の光孝天皇の勅願により建立された大寺院で、明治期まで、代々、皇族ゆかりの宮門跡が法統を継いだことから「御室御所」とも呼ばれたところ。そうした典雅な由緒のお寺でありながら、ここの桜、じつは京都一の愛嬌モノでもありまして。
わたしゃ おたふく 御室の桜
鼻(花)は低ても 人が好く
と唄にもあるように、背丈の低い八重咲きの桜がなんとも愛らしく、満開の頃は桜花の雲に包まれるようなお花見が楽しめる。「御室の桜で見納め」と、桜めぐりのフィナーレにお決まりの名所だったが、このところ4月初旬に開花と聞けばのんびり構えてはいられない。
世界遺産でアフタヌーンティー
そして近年、仁和寺の新しい楽しみ方として話題となっているのが、お寺のプライベートツアー。世界遺産・仁和寺の一夜を独占するようなドラマチックな宿泊体験が噂に高いが、趣向はそれだけにあらず。お昼の数時間、僧侶の案内で寺院やお茶室を拝見したり、寺侍の旧家を移築、改修した宿坊「松林庵」を貸し切っての和菓子作り、アフタヌーンティーなど、プチ贅沢と文化の香りが相まった、心惹かれるプランも数々あるのだ。
今回、常盤さんには「松林庵」でのひとときと、宸殿、書院などの御殿見学、そして食堂でのオリジナル・アフタヌーンティーを。案内には仁和寺執行の牟田清樹僧正が付いてくださった。実は牟田僧正、「そうだ 京都、行こう。」で仁和寺が初めて紹介された1994(平成6)年のCMにも登場しておられるのだそう!
「あの日は思いのほか、冷えこんで……」と、撮影の思い出話も交えつつ、宿坊の設え、御殿の襖絵、庭園のつくり、茶室の由緒など、興味深い解説が、調度を、景色を、俄然くっきり印象深く見せてくれる。
「滝の向こうに見えるのは、光格天皇お好みの茶室で、躙口ではなく、お立ちのまま入れる貴人口がついています。天皇さんが茶室へ向かわれる時、庭の滝の飛沫が御衣の袖を濡らしたことから、飛濤亭の名がついたともいわれていて──」。
いかにも、天皇家ゆかりの寺院であった昔日を思わせる逸話など、格好の土産話にもなりそうだ。
さて、見学のあとのお楽しみは、食堂でいただくオリジナルのアフタヌーンティー。その内容は、季節や折々の趣向によっても変わるが、この日は、今、京都でじわじわと存在感を増す新鋭「御室和菓子いと達」の上生菓子に、京都産の茶葉にこだわった和紅茶の取り合わせ。
桜をテーマに、らんまんの春を頬張るような、とりどりのお誂え菓子が並ぶお盆を前に、常盤さんもテンション高め。このアフタヌーンティーでは、前もって好みなどを伝えておけば、それに沿ったアレンジの相談にも乗ってもらえるそう。こんなところにも、お誂えの町、京都ならではの楽しみが潜んでいる。
旅人=常盤貴子 文=安藤寿和子 写真=伊藤 信
──この続きは、本誌でお読みになれます。「若いころとは京都の景色の見え方が違う」と語る常盤さんによる、春を見つける京の旅をお楽しみください。また、本誌では「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンのTVCMやポスターとともにこの30年を振り返ります。美しいビジュアル、コピーとともにお楽しみください。
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出典:ひととき2024年3月号
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