GWに訪れたい!大自然や太古の歴史に触れるスポット3選|飛騨さんぽ
今年の冬はかなり厳しく、「これでもか!」とばかりに分厚い雪に覆われていた街も、4月に入るとあっという間に雪解けが進みすっかり春めいてきた。とはいえ、朝晩はまだ0℃まで下がるような日も多い。(飛騨では6月くらいまでストーブを片付けられない。これは移住して驚いたことのひとつ)
みなさんが暮らしている地域はいま、どんな春を迎えているだろう。
さて、今回はGW間近ということで、この時期におすすめの飛騨のスポットをご紹介したい。
1.池ケ原湿原
~ 40万株のミズバショウが咲き誇る ~
最初にご紹介するスポットは「池ケ原湿原」。
約6haという広さ(東京ドーム1.2個分くらい)を誇る県内最大規模の湿原で、岐阜県の天然記念物にも指定されている。
豪雪地帯の飛騨では冬場に立ち入りを制限される場所も多いが、ここ池ケ原湿原もそのひとつ。今年は4月29日より入山可能となる。飛騨の美しく雄大な自然を感じられる場所で、入山を待ちわびている人も多い。もちろん私もその一人だ。笑
この時期の池ケ原湿原の見どころは、なんといっても一面に咲き誇る40万株のミズバショウだろう。
一般的にこうした景色は、奥地まで踏み込まないと見られなかったりもするが、ここでは駐車場から歩いて5分でミズバショウの群生と出会える。
また、「湿原」に足場の悪いイメージを抱く方も多いかもしれない。しかし、木道が整備されバリアフリーな環境が整っているため、車椅子やベビーカーでも安心して訪れることができる。ミズバショウとリュウキンカの織りなす白と黄色の風景はまさに壮観。ぜひGWに訪れてもらいたい。
料金は基本的に無料だが、森林環境整備推進協力金を入れるところが用意してある。貴重な自然環境を保護するためぜひご協力を。
美しい自然や、多様な生態系を維持できているのも、関係者のさまざまな努力や多くの人々の支援があってこそ。おそらく全国にある自然公園なども同じような状況にあると思う。自然と触れ合って楽しむだけでなく、環境を維持するため自分たちにできることを考えるきっかけにこの記事がなれたらとても嬉しい。
ちなみにこの池ケ原湿原、秋には草紅葉やシラカンバの紅葉も楽しめる。
2.飛騨みやがわ考古民俗館
~ 開館日は年に30日足らず!幻の考古民俗館 ~
池ケ原湿原を訪れた際に、ぜひ寄ってもらいたい場所がある。それが「飛騨みやがわ考古民俗館」だ。
飛騨市唯一の考古資料館であり、開館日が年に30日もないというめちゃくちゃレアな場所。春に入館できるのは、GWを含む十数日しかない。
ここには、飛騨市宮川町内の発掘調査で出土した旧石器時代から縄文時代までの土器や石器が約5万点、江戸時代から近代までの豪雪地帯の暮らしを伝える民具・民俗資料が約3万点収蔵・展示されている。
この民俗館の最大の特徴が、1000本以上の石棒*。この出土数は、国内でもほかに類を見ない。また、削られる前のものから、仕上がったものまで、さまざまな状態のものが展示されており、石棒づくりの“工程”まで見ることができるのだ。
石棒以外にも、自然とともに暮らしてきた人々の姿を身近に感じられるものがたくさん展示されている。この地で脈々と受け継がれてきた文化に触れたうえで今の飛騨を味わうと、その魅力を一段と深く感じてもらえると思う。
開館日がこれほど少ない背景には、人口減少が進み施設の維持が難しいという側面もある。だがそれを逆手に取るように、人口が減っても維持できる博物館の在り方を模索しているのも、この考古民俗館の特徴だ。
2019年に「石棒クラブ」というプロジェクトチームを立ち上げて以来、収蔵資料の3Dデータ化やオンライン上でのデータ公開、石棒のボランティア撮影会やバックヤードツアーなどのイベント開催、SNSでの情報発信にも力を入れて取り組んできた。気になる人はぜひ、「石棒クラブ」のSNSをフォローしてみてほしい。
3.飛騨里山サイクリング
~ 自転車だからこそ味わえる飛騨の大自然 ~
歴史を感じる街並み、遠くに聳える北アルプスの山々、目の前に広がる田畑、道端に咲く小さな花々。飛騨に移住して贅沢だと感じるのは、散歩をするだけでこうした豊かな自然を肌で感じ、幸せな気分になれること。
ただ、田舎なので30分近く同じような景色が続く場所もある。笑
そこでおすすめしたいのが、飛騨の大自然を存分に味わい尽くせる「飛騨里山サイクリング」だ。
飛騨古川ならではの街並みや美しい里山を、ツアーガイドとともに2時間半〜3時間半かけて巡る。GWはまさに新緑の季節。生命の息吹を感じる青々とした山の美しさをぜひ味わってもらいたい。
そしてこの時期にしか出会えない、絶対に見てもらいたい景色がある。それがこれだ。
田植え前の水田に照り映える夕日。飛騨里山サイクリングは16時までの時間帯なので、晴れていれば青空を映す水田に出会える。時間帯によって表情を変えるこの幻想的な風景を堪能してもらいたい。
また、ガイドのMarinoさんによると、ニホンカモシカのような稀少な野生動物に出会えることもあるという。そんな動物たちとの “一期一会”も、里山サイクリングならではの楽しみだ。さらにMarinoさんは、地元の人との自然な交流が生まれるようなガイドも心掛けていると語る。
「野菜の収穫期であれば、トマトやキュウリ、柿などをご馳走になりながら農家の方とお話したり、米の収穫期には飛び入りで“はさ干し”のお手伝いをさせてもらったこともあります」
ツアーに組み込まれているわけではないのでこうした出会いが必ずしも起こるわけではないが、人との出会いも“一期一会”。サイクリングの間にかぎらず、気さくで愛情深い飛騨の人々との交流を楽しんでもらえたら嬉しい。
* * *
さて、今回はいつもの「飛騨さんぽ」とはちょっと趣向を変えてみましたが、いかがでしたでしょうか? この時期の飛騨は寒暖差が大きいので、訪れる際は朝晩の冷え込みに備えて上着を忘れずに。
私もGWは飛騨を思いっきり味わい尽くすつもりなので、もしどこかで見かけたら気軽に声をかけてください!笑
それでは、心も体もリフレッシュできるたのしい連休を!
文・写真=浅岡里優
▼この連載のバックナンバーを見る