
憧れの“白い動物”たち|愛しい北海道ANIMALS
この連載「愛しい北海道ANIMALS」は、北の大地に暮らす動物たちを23年間にわたり見守り続けてきた結びさんによるフォトエッセイです。そんな結びさんの撮影する動物たちの姿は、おもわず息をのむほど美しかったり、可愛らしかったり、ときに猛々しかったりします。今回は、非常に珍しい白いシャチと遭遇したお話から、なぜか惹かれるという“白い動物”たちの写真を満載してお届けします。
2023年5月13日。偶然、この日に羅臼の観光船に乗っていたこと。そして出航前に、丘の上からこの神秘的な白いシャチを発見してくれた方がいたことに感謝しかありません。
この日、船に乗ると白いシャチがいるらしいと聞かされ、数年前に数日違いで会えなかったことがある私としては、再び訪れた奇跡に胸が高鳴りました。シャチのいる場所へ着くまで期待と不安でドキドキの時間でした。
憧れだった白いシャチを目にした瞬間のことは、喜びのあまりよく覚えていないんです。ただ、小さな声でやった~と何度か叫んだことだけ覚えています。

シャチに会えるだけでも嬉しいものですが、この日は十数頭の群れ、さらに白く神々しいシャチがいたことで、喜びはいつにも増して大きなものとなりました。
さて、このシャチはなぜ白いのでしょうか? 先天的にメラニンが欠乏しているアルビノだと思われます。自然界では生きづらいと言われるアルビノですが、ここまで成長できたということは、海の王者シャチにとっては問題ではないのかも……? 想像でしかありませんが。
今回ご紹介するもう一種は、冬毛と言われれば違和感のないアルビノエゾリス。雪の上だと保護色となり生きやすい気もしますが、緑の中では目立つ存在? この個体が長く観察されたという話は聞きません。


憧れの白といえば、冬毛になったエゾオコジョ。この白くて可愛い生き物にすっかり魅了された私は20年以上通い続けていますが、撮影できたのはほんの数回程度。全長は20cmちょっとと、かなり小さくてすばしっこい生き物です。


どうしてこんなに白い生き物に惹きつけられるのでしょうか? アルビノは珍しいからというのは分かりますが、エゾオコジョは本来の冬毛です。
白くてかわいいといえばシマエナガも忘れてはいけません。ヒナの顔は白くありませんが、もしヒナの顔まで白かったら……? 可愛すぎて大変なことになりそうですね。

巣立って3日目のシマエナガのヒナ(右)
生きるための白、生きづらい白、どちらも私にとっては魅力あふれる生き物です。これからもそんな生き物に出会えることを願って撮影に出かけます。

珍しい白いエゾエンゴサク(右)
文・写真=結び
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全68種のかわいくて素敵な動物が勢ぞろい
北海道の野生動物をとらえた写真集
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人気のシマエナガや「エゾのつく」リス、モモンガ、シマリス、ナキウサギ、珍しいオコジョなど、北の大地でしか出会えない野生動物たちに、迫力のシャチ、フクロウの仲間まで多数収録。親子や赤ちゃんの愛らしい様子など、北の大地の素敵な動物たちの小さな物語やびっくりが隠れています。本の中には今回登場している、白いエゾリスやエゾオコジョも出てきます。
撮影時の動物とのエピソードを描いたイラスト付きで、親子で楽しめる写真集になっています。23年間にわたり北の大地を撮影してきた北海道在住のフォトエッセイストが手掛けた、ほっこりと雄大さを兼ね備えた一冊です。
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