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田舎に住んだら心のアップダウンが落ち着いた話

私は今から1年半前に、現在住んでいる中山間地域に移住してきました。

なんでかと言うと、標高の高い場所にあった祖父母の家が子どもの頃から大好きで、私もそういう所に住みたいなと思っていたから。

年に何回も祖父母の家に泊まりに行き、山や湖に連れて行ってもらって、野山を駆け巡るだけで不思議と楽しくて。

朝6時の防災無線放送前に起き出して、朝露の匂いのするあぜ道に出ては、近所のお寺まで散歩に行ったものです。

とはいえ、育った場所も田舎だったので、緑の多い所ではあったんですが。


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小さい頃は多動傾向があり、「ちょっと変わった子」でした。

小学生になり、環境的・精神的な過敏さがより前面に出てきて、だいぶ感情のアップダウンがひどくなりました。

それでも「親に怒られる」と思って、学校は休まずに通いましたが、家の中で遊ぶよりは外の公園などで遊び、バランスを取っていました。

中学生になると、人間関係が複雑になったこともあり、情緒の不安定さはますます悪化。

中学・高校時代からは友達付き合いは普通にするけれど、女子特有のグループには属さず、家族に対しても壁を作って自分の殻にこもっていました。

あとは、詩や小説を書いて心の安定を図ったりもしましたね。

大学・大学院時代は、キャンパスに自然がいっぱいあったので、講義のない時間は人のいない所に行って、ぼんやり木を眺めながら考え事をしたりできて救われました。


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私はとにかく人付き合いが苦手で、気を遣いすぎて疲れて動けなくなったり、精神的に不安定になったりする傾向が顕著。今でこそ「よく生き抜いたな」って思いますが、当時は本当に「何でうまく行かないんだろう」って悩みに悩みました。

30歳の時にうつで閉鎖病棟(精神科急性期病棟)に入院した辺りが、人生の底。

退院後、「早く働かないと。私は人に迷惑しかかけていない存在だ」と自責の念にかられまくり(これも今から考えると完全にうつの症状ですが)、焦ってアルバイトを始めては再発して退職。暗黒ループはまだまだ健在。

この暗黒ループ中に半年だけ働いた飲食店で、私が外に出られるきっかけを作ってくれた友達と出会いました。

その子は歌を作って弾き語りをしている子で、その子にくっついて地元の野外イベントなどに行けるようになってからは、まだ薬は手放せなかったけれど、だんだん症状も良くなってきました。

そんなこんなで、30代も半ばに近づいた頃、職場で知り合った旦那さんと結婚。

人と一緒にいること自体が苦痛で、恋愛もうまくいった試しがなかった私が、うつも完治していないのに結婚できたのは今でも不思議ですが・・・(笑)この辺りの話はまた改めて書きます。

↓書きました。


閑話休題。


結婚して何年かは地方都市に住んでいましたが、ひょんなことで今住んでいる町に仕事が見つかり、旦那さんを置いて、私だけ先に移住(旦那さんは数ヶ月後にこちらに引っ越してきました)。

そこから農業や農作業を学び始め、今に至ります。


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私は、自分が「過敏すぎて気にしすぎで、精神的に不安定で病名がついたりする」ことを、もういい加減やめたいと心底思っていました。


『物心ついた時から心のアップダウンが激しいけれど、もういいよね?』

『私も「普通」に安定して暮らしたい。』


田舎に引っ越すことが決まってから、精神科の医師に薬の減薬をお願いして、かなり長い時間をかけて少しずつ薬を身体から抜きました。

そして、田舎に引っ越した日に、完全に薬を飲むのを辞めたんです。

(※皆さんは真似しないでくださいね。薬の減薬は主治医に相談して慎重に行い、急な断薬は危険なのでしないでください。離脱症状が出たり再発したりするリスクがあります。)


確かに、田舎に引っ越してきてすぐは、家も仕事も環境も全てが見知らぬ状態に変わったので、心身ともに疲れて、状態もあまり良くありませんでした。

でも、農家さんたちに教えてもらいながら土に触れ、野菜の様子を見て、自然の中にいる時間が長くなるにつれ、徐々に心の波が小さくなってきました。


波はあるけれど、自分で自分の機嫌を取ることができる。

落ち込んだとしても、寝て起きればそれなりにリセットできている。


これまでの私の人生で手に入らなかった「自分で自分の面倒を見る」ことができるようになった。んです。


いやぁ、嬉しかった。本当に。


不眠も、気づいたら治っていました。

身体を動かすことだけでなく、体力がついたのも良かったようです。

体力がなさ過ぎても不眠になるんですね。身体を動かすようになって、体力がついたら眠れるようになりました(私もそうでしたが、重症のうつの場合はエネルギーがなさすぎて不眠になっている場合があるので、原因には個人差があります)。

田舎の「刺激が少ない」環境が、私には合っていたんだと思います。

私のいた地方都市も十分田舎だったけれど、街灯やお店の明かりが明るすぎて、いつも何かの音がしていて・・・


便利な分、「なんにもない」が全く無かったんだな。


地方都市にいた頃は手放せなかった音楽プレーヤーとイヤホンを、今は全く使わなくなりました。

今は音楽の代わりに、鳥のさえずりとカエルの合唱を聞きます。

ファーストフードは30km以上離れた隣町に行かないと売っていません。

その代わり、知り合いの酪農家さんが作っているソフトクリームを食べに道の駅まで行きます。


山も川も、滝も畑も。満天の星空も、この町の中にあります。


田舎ならではの贅沢ですね。


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農作業も、私には合っていました。

身体は疲れるし足腰も痛くなるけれど、なんというか・・・モヤモヤする出来事があったり、頭を使いすぎたりしても、土に触れている手と足の裏から、嫌なことが全部吸い取られて消えていくような。

最初はモヤモヤの方が勝っていますが、農作業をしているうちに、いつの間にか心に沸き立った波がすーっと凪いでいるんです。


きっと土の中の微生物が、心の中に渦巻いたモヤモヤを分解してくれてるのかなぁ。

そんなことを考えながら、汗をかきかき、無心で手を動かします。


田舎にいると、有機物も無機物も生きているんだなって感じられるから不思議です。人間も動物だから、自然の中ではたくさんの命の中のひとつに戻れるのかもしれません。

名前も職業も役割も肩書きもしがらみも、ぜーんぶ取り払って。


だから、私は畑に行くたびに、自然に触れるたびにゼロに戻れるようになりました。私なりの心のバランス調整法がたまたま田舎にあったのを、これまた偶然発見できた、という感じ。

でも、すべての人に田舎が向いているわけではないと思うし、都会の喧騒の方が安らぐ場合もあると思います。

ただ、私みたいなパターンもあるんだよ、というお話。でした。

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