夢を見て、無意識のしっぽをつかまえる
久しぶりに怖い夢を見た。怖い夢というか、私が定期的に見る「同じテーマの夢」だ。客観的に見れば怖い内容ではないのに、目が覚めたあとにすごく怖く感じたり、何時間も気分が落ち込んだりする。そういう夢。
この繰り返し見る夢を忘れた頃にまた「同じテーマの夢」を見て、ハッと目が覚める。そのたびに、ああそうだ、きっと私が今認識しなければならない問題があるんだ、と気づくのだが、この「認識しなければならない問題」や「現状に潜む意味」に向き合うのが怖くて億劫で、毎回最奥までは自分の内部を探らずに終わる。
これではいかんよなぁ、と思ったので、今日は「繰り返し見る同じテーマの夢」の意味を考察してみようと思う。
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子どもの頃は、「大量の影の巨人が私の周りをぐるぐる回っていて、追い詰められていく」夢を繰り返し見ていた。3~5歳頃が一番ひどく、この夢を週1くらいの頻度で見ていて、毎回号泣したり叫んだりして起きていた。子どもながらにすごく怖い夢だったが、中学校に上がる頃には見なくなった。
大学で心理学を学ぶようになり、ユング派の教授から夢分析のやり方を教わってから、自分なりにこの「影の巨人の夢」を分析してみたりもした。おそらくグレートファザーの象徴だろう、とか、長女でしっかりしていなくてはならないプレッシャーだ、とか。
今から考えると、この考察は当たらずといえども遠からず、といったところだろうか。
大学の頃は、繰り返し見る夢はなかったものの、単発の怖い夢をわりあい多く見ていたために、けっこう真剣に夢と向き合っていたように思う。まだ、今ほど自分の潜在意識と会話できなかったので、無意識からの明確なメッセージを受け取れる手段は夢くらいだったからだ。
夢分析を教えてくれた教授は、夢に現れる無意識のかけらから自分へのメッセージを受け取ることを「狩りをする」と例えた。これは、アメリカの文化人類学者カルロス・カスタネダが、ヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファンのもとで修行していた際の表現のひとつである。
私が師事していた教授が教科書として指定していたのが、カルロス・カスタネダの著作に関するものだったこともあるが、この「狩りをする」という表現はとても分かりやすかった。おかげで、私は自分の夢の中だけでなく、生活のすべてのシーンで「狩りをする」ことができるようになり、今に至る。
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しかしながら、狩りの方法はマスターしても、「狩りをしたくない」日も存在する。野生のライオンと違って、「狩り」をしなくても生きていけてしまうからだ。でも、そうして無意識からのメッセージを放ったらかしにしておくと、見つけてもらえなかった無意識のかけらは、今朝の私のように「恐ろしい夢」という猛獣に姿を変えて、繰り返し襲ってくるようになるのである。
だから、日常的に狩りをして(無意識と対話することで)、「恐ろしい」存在になる前に対処しておいたほうがいいのだ。ああ、それでも毎回、同じことを繰り返してしまうのだけれど。
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気を取り直して、今朝の夢の考察に戻ろう。今朝見た夢は「家の夢」で、ここ1~2年くらいで見るようになった。夢に(私が住んでいる設定の)家が出てくるのだが、毎回少しずつ家の大きさや間取りなどが変化している。そして、その家には何故かいつも大量の動物が住み着いており、知らないうちに他人が勝手に私物を置き去りにしていて、最終的に誰かが家の中に侵入してくる。
家は肉体や精神世界の象徴であり、家の大きさはすなわち私のキャパシティを表しているし、家の中は私の内部そのものと言える。だから、動物や他の誰かが無数に侵入している(してくる)となんとも言えない気持ち悪さと恐怖を感じるのだ。
侵入者は私の知っている人のときもあるし、全く知らない人の場合もある。特に、私が意識的に「侵入を許可」していない人の場合は、『なんでこの人(もしくは、その人が象徴するもの)が私の家の中に侵入しているのか?』を考えるようにしている。動物も、私物を置いていった人も然り。
夢に出てきた相手がどうこうというよりも、「私がそういう風に知覚している」ことが大事なので、「狩り」は基本的に自分に対してしか行わない。自分の中にしか、「私の求めている真実の答え」はないからだ。
ちょっと抽象的な内容になったけれど、今の私が繰り返し見る「家の夢」から現時点で読み取れることは、家の大きさ(=自分のキャパシティ)が知らないうちに大きくなっていっており、それを自分で管理しきれていない、ということである。
キャパシティの拡大は、私が「人生を背負う」覚悟を決めてからずっと続いていることなのだが、あまりにすべてを背負おうとすると、自分自身が潰れる危険性が出てくるので、あまりよろしくないなと思う。意識的に止める必要があるかもしれない。
自分で管理しきれない家は、どうしたって不具合が出てくるものだ。だって、開かずの間が増えれば、それだけ風通しも悪くなるし、掃除も行き届かない。「空いているんだから、住み着いてもいいよね」と動物が侵入するのも無理はない話だ。
自分で気づかないうちに、知らない動物や誰かを養っているなんて、疲れるに決まってるよ。
私は、警戒しまくるところと、そうでないところの差が極端なので、こういう風に定期的に「家の夢」という形で、客観的に見た自分の姿を教えてくれているのだ、と思う。
ここまでは腑に落ちるけれど、まだ「見えていない部屋」がありそうなので、これからもしばらくは「家の夢」を見続けることになりそうである。
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