198 最近見ているテレビドラマ
再び見はじめた
いったん、テレビドラマもう見ない的な状況があった。それがコロッとヒックリ返ってしまった。テレビドラマ、おもしろい。
これまで何度か、テレビドラマについてnoteに書いてきた。
そしていま。
朝ドラ「虎に翼」を見始めた。きちんとしたコメディ要素の入ったドラマであり、とても分かりやすい。
大河ドラマ「光る君へ」は継続して見ている。正直、明治維新とか江戸時代とか戦国時代にあった「いまの自分たちとの地続き感」はゼロで、日本の話でありつつファンタジーな世界にも見えて、まさに異世界であるところがおもしろい。また、『源氏物語 A・ウェイリー版』(紫式部著、アーサー・ウェイリー訳、毬矢まりえ訳、森山恵訳)を読んでいることもあって、相乗効果は著しい。「源氏物語」で読んでいる世界がそのまま再現されている、と見ることも可能だ。とくに、「源氏物語」では手紙、和歌のやり取りが多いけれど、そのたびに、文字の美しさ、気品といった見た目についての描写、批評があり、「光る君へ」にも、そうした文字の美しさが表れていて、興味深い。きっと制作側は細部まで拘っているのだろう。
ドラマ「舟を編む」も楽しい。辞書をつくる話と、主人公(池田エライザ)の成長を盛り込んでいる。毎回、言葉とその意味についてのドラマが展開される点も素晴らしい。
ドラマ「坂の上の赤い屋根」を全話見て、蓮佛美沙子という女優の魅力をひとつ知った。これまでもいろいろな映画やドラマでちょくちょく見かけていたのだが、この作品での狂気は見事。と思ったらライター&イラストレーターの吉田潮は「蓮佛新境地開拓」と記していた(週刊新潮「TVふうーん録」686回)。戒名じゃないんだから、と思った。
いい作品は苦手だが、うっかり見てしまう
多くの人がそうであるように、「いい作品」が苦手である。文部科学省推奨とか文化庁推奨みたいな作品を敬遠してしまう。むしろ悪い作品の方が好きだ。悪いと言っても、そこは大人たちが苦労に苦労を重ねて作品として結晶させているのだから、悪いはずはないのである。ただ、「いい作品」と言われないだけなのである。
ドラマ「不適切にもほどがある!」は、宮藤官九郎脚本で見事な作品だったので「いい作品」と呼ばれかねないけれども、そこに現われている映像やセリフの多くは決して「推奨」されるタイプではないので、私のように「いい作品が苦手」派にとっては実にありがたいドラマだった。
その宮藤官九郎脚本の作品がまた地上波で見ることができる。山本周五郎の原作の「季節のない街」。これまでディズニープラスでしか見ることができなかった作品をテレ東で放送してくれている。同じ原作で黒澤明監督「どですかでん」(1970年)がある。これは「いい作品」らしいので、当然、私は見ていない。貧しい地域の話であるが、地域差別につながりかねないのでいまの時代は映像化しにくいところを、災害によって生まれた仮設住宅へ移し替えたアイデアは見事だ。まだ1話しか見ていないけど、「いい作品」っぽい。ただ、ストレートに「いい作品」にしていないはずだと期待できるので、このあとも見るつもり。
ドラマ「天使の耳〜交通警察の夜」。これもまた、普通にやれば「いい話」になってしまいそうなドラマ。原作は東野圭吾。小芝風花、安田顕によって、ストレートではないドラマになりそうなので、もう少し見よう。
ドラマ「RoOT / ルート」。「不適切にもほどがある!」でさらに幅広い人たちに認知された河合優実が主演。そして実に見事な作品だったアニメ「オッドタクシー」の世界観をそのまま実写化している。タクシー運転手の小戸川が登場するのである。もうこれだけで、ワクワクが止まらない。
ドラマ「白暮のクロニクル」。これは正直、よくわからない。バンパイアものの変形だ。それにしてもバランスの悪い配役に見えていたのが、ドラマが進むにつれて、それはそれで味に思えてくる。
アニメ「バーテンダー 神のグラス」。アニメである。1話を見ただけで引き込まれた。私は一時期、週に2~3回、バーで楽しんでいた。何百とある壁にぎっしり並んだ酒を全部飲もう、という意気込みだった。半分は飲んだはずだ。カクテルも楽しんだ。その思い出とシンクロする。
NHK「未解決事件 File.10下山事件」。ドラマとドキュメンタリーによる。これがとてつもなくよかった。いまも自分の心のどこかに、この黒々とした世界が息づいている。戦後の事件といった印象だったのに、いま見ると、今日につながっていて恐ろしい。
「結局、見てるじゃないか」と言われるだろうけれど、まあ、そうなんだな。それがテレビだから。どうせ「テレビっ子」のなれの果てだから。