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個人ZINE『本を拾う』制作日誌 #02

明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。

さて、
『本を拾う』RE:0(創刊準備0号 リマスター版)の制作日誌の続きです。
時系列的にはまだ2024年の9月ですが、お付き合いください。


雨の降らない良く晴れた日曜日。


その日の朝、母と弟は、近ごろ貧相になってしまった夕食の食材でちょっとした「いさかい」を起こした。目覚めていたけれど寝たふりをする。と、そのまままた眠りに落ちてしまった。ほんのちょっと。

ほどなく布団をはぎむくりと起き上がって、今度はしっかり起きる。

あいにく、弟はすでに仕事に出かけていて姿はどこにもなかった。そんな訳で、母の怒りは自分が引き受けなければならなくなった。

「機嫌悪いからって無視されたらほんとうに腹が立つわ。ね?」

なんとも損な役回りだ。

午前10時に下北沢に到着。三か月にわたる『百年の孤独』をじっくり読む、というイベントの最後の回にリアル参加。

客席の自分を含めた11人が、各々の感想を丁寧にファシリテーターに語る。

とても心地よい。

自分は最後に話した。
伝えるべきことを多すぎず少なすぎず伝えることに注力し、ゆっくりとしたテンポで。

満足だ。

会が終わり、解散となったが、しばらくお店にとどまり、独立系書店ならではの珍しい見たことのない本を反射的に購入する。

そして、
店が設置した個性豊かに大量に置かれていたフリーペーパーを残さずリュックサックに入れて店を出た。

次に、日記専門のZINEを置く『日記屋 月日』に立ち寄る。
四畳半ほどの店内。
工夫された陳列。
居心地のよいお店だ。

お店番の女性スタッフと少し会話を交わす。
自分のこと。
奇妙な仕事場での毎日のこと。
ほんの少しの間の滞在でも心が躍った。

日記を2冊購入する。

短いやり取りでも一気にこのお店はフェイバリットとなった。

時間はもうすぐ午後1時。
照りつける太陽の光はギラギラしている。
全身を焼く熱に耐えつつ、ちょっとだけ楽しい時間を過ごせたことをしみじみ思う。幸せだなと。

やがて家にたどり着く。
あたりはみんな昼寝でもしているのか、静かな空気が包む。
いい感じだ。

午後の日差しは家々がさえぎり、後ろからすこしだけ乾いてきた9月の風が吹いていた。

留守番の母は自室で絶賛昼寝中。

「昼は、パスタにしよう。ボロネーゼ」


今日買った本は7冊。結構な数だ・
次から次へとパラパラとめくり、時間が過ぎていった。

やがて、弟が帰ってきた。

言葉少なげでぶっきらぼうに今日の買い物を仕分ける。
入れ替わりで台所に来た母は、朝の不機嫌さをまたたく間によみがえらせ、結局こっちに「あたる」。

そういうのって、疲れないもんかねぇ? って思う。
いや、普通の人なら、普通の家庭なら、どうなんだろう。
背中越しの母の愚痴をBGMに、なんとなく本づくりをはじめる。

ぼんやりとラフを描いて、しばしMacでレイアウトしたり、
ブックデザイナー時代に会社からお借りしてそのまま返していない(返す機会がなくなった)海外のさまざまな素材集DVDの写真、イラスト、テクスチュア、パーツを眺めていた。

小一時間が経った。

いつの間にか『本を拾う』の次回の表紙案が完成してしまった。

「よし、これでいこう!」

ノリと直感と愚痴は大切だ

こんな感じで、ほぼ手直しを加えることなく「RE:0」の表紙が形になった。

(つづく)




フリーペーパーとして誕生した『本を拾う』0が、
装いも新たに『本を拾う』RE:0(創刊準備0号 リマスター版)として、
販売中です!

この「RE:0」は2024年7月14日発行の「0」の真逆の視点とアプローチで自由自在な発想で作り直した「やり直し版」でもあります。じっくり考え、少しずつプロットを作成し、構成や企画そのものを見直しています。

2024年12月から、東京・吉祥寺の文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂で「本を拾う」という屋号で一棚店主にもなりました。1月18日(土)の12時~18時はお店番もします!

棚はこんな感じです。

高円寺のそぞろ書房様でも販売しています。

お近くにお越しになった際は、ぜひ、立ち寄って読んでみてください!

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