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「時間的余裕」の有用性を考察=日銀と「市場との対話」の理想と現実

 日銀は10月30、31日に金融政策決定会合を開催し、政策金利の据え置きを決めました。記者会見では、植田和男総裁が「時間的な余裕という表現は不要になる」と指摘。そのうえで「普通の金融政策に戻る」と述べました。時間的な余裕との表現を止め、金融政策が普通に戻った意味を、「市場との対話」の観点で考察してみたいと思います。

 「時間的な余裕」との表現を使い始めたのは、植田総裁も会見で説明していますが、8月初旬に日経平均株価が大暴落してからです。これに先立ち、日銀は7月末に追加利上げを決定。直後の植田総裁の会見内容がタカ派的と受け止められたほか、不運にも米雇用統計悪化も重なり、株価は暴落。慌てた日銀はハト派姿勢を強調するため、「時間的余裕」をアピールしました。

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