本石町日記(窪園博俊)

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 金融機関でマーケット業務に携わりたい方、これからマーケット業務に関わる可能性がある方、あるいは個人としてマーケット業務に強い関心を持つ方などを対象にしています。マーケットの中心に位置するセントラルバンキング業務について教科書にはない解説・勉強会などを行う予定です。  ヤフーで発行するメルマガは、週間で起きつつある事態を追いかけていますが、こちらでは、現在の金融政策と今後の展開を把握する上で重要となる、過去の軌跡の実情(オフレコ的なところも含めて)を時系列で解説します。  ベテランの方々は、過去の蓄積があるために、現在進行形で政策を追えますが、途中参加の場合は、キャッチアップが大変です。こちらでは、そうした方々への、手助けとなる動線の役割を果たしたい、と思っております。  もちろん、メルマガの読者がこちらに参加されるのは大歓迎です。掲示板等を利用して、意見交換などができれば幸いです。よろしくお願いします。  

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このnoteの動機となった配属ガチャの大外れ

 サラリーマン社会では、「配属」は職業人生の運命を左右する一大事です。ただ、配属(or異動)でどこに回されるかは、神のみぞ知る世界で、当たりのガチャを祈るしかありません。私の場合、今の会社における最初のガチャは大外れでした。深い絶望とはこのことでした(このエントリーはnote紹介もかねて無料としています)。  ところが、です。いきなり大外れとなったガチャは、結果的には大当たりとなり、このnoteを始める大きな動機となりました。この話は、テーマ分類では「キャリア」に入るでしょ

    • 正副総裁の相性論について=歴代のパターンで考察

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      • 「時間的余裕」の有用性を考察=日銀と「市場との対話」の理想と現実

         日銀は10月30、31日に金融政策決定会合を開催し、政策金利の据え置きを決めました。記者会見では、植田和男総裁が「時間的な余裕という表現は不要になる」と指摘。そのうえで「普通の金融政策に戻る」と述べました。時間的な余裕との表現を止め、金融政策が普通に戻った意味を、「市場との対話」の観点で考察してみたいと思います。  「時間的な余裕」との表現を使い始めたのは、植田総裁も会見で説明していますが、8月初旬に日経平均株価が大暴落してからです。これに先立ち、日銀は7月末に追加利上げ

        • 「展望なき『転職ガチャ』」は…=結果的に「バブルに救われた」!?

           転職人生をマクロ経済の観点で回顧する、というネタがありました。ただ、うまい切り口が見つからず、お蔵入り状態でした。ところが、元日銀理事の門間一夫氏が格好のリポートを公表していました。使わせてもらいます。テーマは表題通りで、一般的な転職の成功は約束されたものではなく、まさに「展望なきガチャ」です。そのマクロ的な影響を考察してみます。

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          正副総裁の相性論について=歴代のパターンで考察

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          「時間的余裕」の有用性を考察=日銀と「市場との対話」の理想と現実

           日銀は10月30、31日に金融政策決定会合を開催し、政策金利の据え置きを決めました。記者会見では、植田和男総裁が「時間的な余裕という表現は不要になる」と指摘。そのうえで「普通の金融政策に戻る」と述べました。時間的な余裕との表現を止め、金融政策が普通に戻った意味を、「市場との対話」の観点で考察してみたいと思います。  「時間的な余裕」との表現を使い始めたのは、植田総裁も会見で説明していますが、8月初旬に日経平均株価が大暴落してからです。これに先立ち、日銀は7月末に追加利上げ

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           転職人生をマクロ経済の観点で回顧する、というネタがありました。ただ、うまい切り口が見つからず、お蔵入り状態でした。ところが、元日銀理事の門間一夫氏が格好のリポートを公表していました。使わせてもらいます。テーマは表題通りで、一般的な転職の成功は約束されたものではなく、まさに「展望なきガチャ」です。そのマクロ的な影響を考察してみます。

          「展望なき『転職ガチャ』」は…=結果的に「バブルに救われた」!?

          YCCが「うまくできた」?の意味=「失敗」したから「成功」

           財務省広報誌「ファイナンス」(直近号)に黒田東彦前日銀総裁の講演録が収録されています。この中で、黒田氏は「イールドカーブコントロール(YCC)」について、元財務長官のラリー・サマーズ氏から「どうしてうまくできたのか、を知りたい」と頼まれ、講演したことを披露しています。「うまくできた」の意味と、なぜ「うまくできたのか」を解説します。

          YCCが「うまくできた」?の意味=「失敗」したから「成功」

          立憲民主党の「物価目標」見直しについて=いくつかの論点を考察

           立憲民主党が次期衆院選の公約として「物価目標」の見直しを掲げました。本来、物価目標を達成できなかったアベノミクスの総括として与党が手掛けるべきテーマながらも、最大野党が公約に盛り込んだのは歓迎したいと思います。物価目標の導入経緯は、以前も解説しましたが、その補足として、目標見直しをめぐるいくつかの論点を考察します。

          立憲民主党の「物価目標」見直しについて=いくつかの論点を考察

          日銀と政権の関係、基本は「普通」=相場が変動するのはノイズです

           石破政権の発足に際し、金融政策をめぐる思惑で相場が上下動する場面がみられました。金融政策に何らかの注文を付けるかのような発言もみられましたが、過去を振り返ると、日銀と政権の関係は、つまらないかもしれませんが、基本的には「普通」です。相場が動くのは、ヘッドラインに踊らされたノイズがほとんどである、と言っていいでしょう。

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           財務省広報誌「ファイナンス」(直近号)に黒田東彦前日銀総裁の講演録が収録されています。この中で、黒田氏は「イールドカーブコントロール(YCC)」について、元財務長官のラリー・サマーズ氏から「どうしてうまくできたのか、を知りたい」と頼まれ、講演したことを披露しています。「うまくできた」の意味と、なぜ「うまくできたのか」を解説します。

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           立憲民主党が次期衆院選の公約として「物価目標」の見直しを掲げました。本来、物価目標を達成できなかったアベノミクスの総括として与党が手掛けるべきテーマながらも、最大野党が公約に盛り込んだのは歓迎したいと思います。物価目標の導入経緯は、以前も解説しましたが、その補足として、目標見直しをめぐるいくつかの論点を考察します。

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          日銀と政権の関係、基本は「普通」=相場が変動するのはノイズです

           石破政権の発足に際し、金融政策をめぐる思惑で相場が上下動する場面がみられました。金融政策に何らかの注文を付けるかのような発言もみられましたが、過去を振り返ると、日銀と政権の関係は、つまらないかもしれませんが、基本的には「普通」です。相場が動くのは、ヘッドラインに踊らされたノイズがほとんどである、と言っていいでしょう。

          日銀と政権の関係、基本は「普通」=相場が変動するのはノイズです

          「異次元緩和」をどのように総括するか=実践的な見地からの考察

           日銀が過去四半期に手掛けた様々な緩和策の「多角的レビュー」を行っています。一連の施策は、純粋に研究の価値があるのは言うまでもないでしょう。では、実践面ではどうでしょうか。直近の「異次元緩和」は、個人的にはほとんど効果はない、あるいは弥縫策とみなしていますが、実践的な見地では「効果なし」と断言するのは難しい面があります。過去の事例を踏まえて考察します(以前に書いたエントリーの補足となります)。

          「異次元緩和」をどのように総括するか=実践的な見地からの考察

          「椅子理論」についての考察=駐在員と配達人、職業人生の分岐点

           世の中で働き始めて、どのような労働観を持つかは人それぞれです。私の場合、シェンさん(@shenmacro)の一連のつぶやきをまとめた「椅子理論」がかなりツボでした。なぜなら、転職人生の中で思い知った「会社階級論」と重なるところがあるからです。過去のエントリーとも重なる内容ですので、そちらもご参照ください。

          「椅子理論」についての考察=駐在員と配達人、職業人生の分岐点

          福井流vs白川流、演技緩和の方がいい!?=中銀財務問題の応用編

           中央銀行の財務問題について、今回は応用編を取り上げます。表題にもありますように、福井体制の「量的緩和」と白川体制の「質的緩和」を比較してみます。「中銀財務は健全な方がいい」との命題を前提に、両体制の緩和スタイルを比較すると、福井流の方がましだ、となります。当時の政策変遷を踏まえ、福井流が望ましくなってしまう理由を説明します。

          福井流vs白川流、演技緩和の方がいい!?=中銀財務問題の応用編

          中央銀行の財務問題で思考実験=平時でも赤字になるケース

           8月23日に国会の閉会中審査が行われ、植田和男日銀総裁らが出席しました。この審査は、7月末の追加利上げの余波として株が大暴落したことを受けたものです。ここでは、この審査で焦点の一つとなった日銀の財務問題を取り上げます。一般論として、中銀財務の悪化は望ましくないのですが、思考実験として中央銀行が平時でも赤字になるケースを紹介します。

          中央銀行の財務問題で思考実験=平時でも赤字になるケース

          「沈黙の中央銀行」、いつから饒舌に=政策変更は突然に、説明もなく

           先月末、会見したばかりの植田和男日銀総裁は間もなく国会答弁します。一方、パウエルFRB議長も会見したばかりですが、今度はジャクソンホールで講演します。現在、情報発信では「饒舌」になった中央銀行ですが、昔はラブソングではないですが、「政策変更は突然に」で、説明もしない「沈黙の中央銀行」でした。饒舌になった経緯を振り返ります。

          「沈黙の中央銀行」、いつから饒舌に=政策変更は突然に、説明もなく

          「展望リポート」の仕組みについて=金融政策運営と物価の関係を整理

           日銀OBでもある渡辺務・東大教授がこちらの記事で、「(日銀見通しに沿って)黙っていても(物価が)2%に向かうのであれば何もしなくてよい」との考えを示しています。日銀の「展望リポート」の仕組みを理解するうえで、ちょうどよい記事でもあり、改めて金融政策運営と物価の関係を分かりやすく説明します。先般の解説記事にもつながるところもあります。  少し詳しく引用します。渡辺教授は「現時点での日銀の見通しは2%の物価上昇率に落ち着いていくという姿です。この見通しどおりに事態が進展してい

          「展望リポート」の仕組みについて=金融政策運営と物価の関係を整理

          内田副総裁講演の問題点を考察=「市場からの独立性」について

           内田真一日銀副総裁が7日に行った講演を受け、金融市場では歓迎と批判の両論が浮上しています。ここでは、なぜ批判されるのかを考察します。先般の植田和男総裁のタカ派会見が株暴落を招き、それを打ち消すハト派講演は、市場安定で望ましい、と思うかもしれません。ただ、タイトルにもあるように「市場からの独立性」の観点では問題含みとなります。  植田総裁のタカ派会見を受け、日経平均株価は大暴落しました。この暴落自体については、先般、解説した通りです。そして、この暴落を受け、日銀が何らかのメ

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          史上最大の下げでも「表層雪崩」=バブル崩壊型不況との相違点

           5日の日経平均株価が4千円以上も暴落し、「号外」が出る騒ぎとなりました。下げ幅が史上最大ともなると、バブル崩壊型不況を心配する論調も出るでしょう。ただ、現状では「金融システム」を巻き込む深刻な不況は考えにくいです。バブル崩壊型不況との相違点を雪崩(後段で詳述)に例えて解説します。現状、規模の大きい「表層雪崩」といったところでしょう。

          史上最大の下げでも「表層雪崩」=バブル崩壊型不況との相違点

          植田日銀、一気にタカ派色が鮮明に=FRBの姿勢変化を後追い?

           日銀が7月31日の金融政策決定会合で、追加利上げを決定しました。利上げ幅はわずかでしたが、株安・円高に大きく振れたのは、政策運営が一気にタカ派色を強めたためです。植田日銀は当初、インフレに許容な方針でしたが、その面影はありません。こうした急速なタカ派傾斜は、脱コロナ後のFRBの姿勢変化を後追いしたかのようにも見えます。

          植田日銀、一気にタカ派色が鮮明に=FRBの姿勢変化を後追い?