浪人はもはや超レア〜大学受験での浪人選択者の推移(1979年〜2023年)〜

そろそろ、受験シーズンも終盤に入ります。
殆どの私立では入試が終わり、国公立の入試が始まりました。

今年の大学志願者数がどれほどか、正確な数字はまだ分かりません。現役だけで61〜62万人。浪人含めて66〜67万人でしょうか。

浪人生は今やレアです。
レベルが高い大学でも、少子化&入学定員維持のおかげで、入学しやすくなっているからです。

浪人選択者がどれだけ減ったかを独自に調べてまとめました。

調査にあたり、学校基本調査(文科省の統計)の、高校卒業者における大学志願者数の記録を参考にしました。
このデータでは現役生はもちろん、一浪と二浪以上の志願者数まで詳しく分かります。
各年の記録を見て、翌年に浪人を選択した者の割合を算出しました。

そのため、受験関連のデータでよく示される浪人者数とは少し異なります。
こちらは二浪以上の人数も含まれており、1学年における浪人者の人数までは分かりません。

調査対象は、1979年(共通一次1期生)〜2023年の大学受験者です。(下記図1・2を参照)

図1:4年制大学受験者(現役生)と浪人選択者の推移
1979年〜2023年
図2:現役受験者と浪人選択者および浪人選択率
(図1の一部拡大版)

2023年の現役受験者(2004年度生まれ)のうち、
浪人選択者は6.0%です。
学年全体をベースに考えると、大学志願率が53.7%のため、浪人は3.2%の割合です。恐ろしい程の同質性。もう何も言えません。
18〜19歳のうち、浪人生は33人に1人しかいないのです。35,360人です。タイパに囚われずにチャレンジする若者はもはや激レアです。

浪人選択者の割合が1番多かった時期も
分かりました。70年度生まれ(世代人口193万人)です。89年の現役受験者です。
この学年は、現役受験者の36.7%が浪人を選びました。全体の大学志願率は29.9%のため、浪人選択者が11.0%もいたのです。現在の3倍以上の割合です。人数に直すと6倍、212,510人もいました。

図2の通り、79年~94年は浪人選択者は、
現役受験者ベースで30%を超え、学年全体ベースで10%を超えていました。
現在の50代・60代は激戦の大学受験を乗り越えたのです。

その後、30年間は現役受験者数は横ばいで推移(57万~62万人)しますが、徐々に浪人選択者の割合は下がります。
入学定員の微増と少子化による受験生の平均レベル低下が原因です。
2020年代に入ると、現役生の大学志願率は50%を超える水準にまで行き着きました。

このように、過半数を超える高校生にとって大学受験とは、18歳で超えなければならない試練となりました。

最近の若者は浪人が少ないため、浪人すると肩身が狭くなります。同級生の多くが進路が決まっている中、不安定な状況を選ぶのです。
よほどの覚悟を持っていないと浪人できません。

そう考えると、現在の浪人選択者は果敢なチャレンジャーです。リスクを受け入れて、高みを目指していますから、
大学卒業後の評価が高くなるのは当然です。
浪人のし過ぎは良くないですけどね。

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