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【ショートショート】上京ハンカチ。140字小説。

芸人を目指して上京した。
箸にも棒にもかからなかった。
上京した日、東京駅で泣いている女の子を見かけた。
そっとハンカチを差し出した。
彼女はそれを無言でひったくると、思い切り鼻をかんだ。
それは僕の人生が、音を立てて決まった瞬間だった。

僕はその日から見知らぬ人に優しくするのは、やめた。

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