中小企業がCRMツールを運用することで、データドリブン組織として成長できるのでは?と考えた
こんにちは!クロスコムの本田です。
今回は、中小企業がCRMツールを運用することで、データドリブン組織として成長できるのではないかと考えたので、この記事でアウトプットしていこうと思います。
先日の記事『CRMツールは中小零細企業の経営活動にどう役立つか考えてみた』では、CRMが業務効率化&売上UPにつながることを説明しました。おそらくほとんどのネット記事でも、同様の主張が見られると思います。
CRMの機能や運用メリットは今回の記事では割愛しますので、気になる方はこちらよりご覧ください。
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ここでもう少しマクロ視点をもって、CRMと中小企業の将来性について考えてみました。マーケティングの知見や強い人材を多く抱えている大手やスタートアップの競合企業たちを相手に、知見も人材も少ない中小企業が競争優位性を出すために、データ利活用は必須だと確信しています。
その観点から、データ利活用を最大化する上でCRMはとても親和性が高く、データドリブンを推進する強力なツールになると考えたので、今回はその観点からお伝えします。
1.CRM需要は年々高まっている
国内CRM市場の拡大
CRMは、顧客体験の向上を目的としたツールとして、1顧客に対する単発的な売上ではなく、継続的な売上(=LTV)をつくるのに有効な施策です。
最近では、MA・SFA機能も搭載されたCRMツールが一般化されつつありますが、企業側のマーケティング・営業・カスタマーサクセスそれぞれの部署に横串を指すような、一貫した情報発信による顧客体験の向上が実現できるのがCRMの特徴の1つです。
このCRM市場が拡大している背景には、「一貫性ある顧客体験の向上」が企業の提供価値として重要な要素になっていることが挙げられます。そして、顧客体験の向上の先にある「収益基盤の形成」が、企業がCRMに取り組む目的だと考えられそうです。
デジタル化へ取り組む中小企業数の増加
では、中小企業に対象を絞って考えるとどうでしょうか。CRM需要予測に関する政府の統計データや調査機関の関連データを調べてみましたが、ピンポイントな情報は見当たりませんでした。
そこで、少しレイヤーを上げて「中小企業のデジタル化への取り組み状況」について調べてみました。
新型コロナウイルスの流行前後の、中小企業のデジタル化への取り組み状況を表した図です。日頃から実務に身を置いている人は、肌感覚でもこのトレンドは理解できるかもしれません。上図の各段階のパーセンテージ推移から、段階1の企業が段階2へ、段階2の企業が段階3へ、段階3が段階4へと、各段階の企業が次の段階へ移行しているファクトが読み取れました。
つまり、社内業務のデジタル化への取り組み(段階2・3)が増えつつ、特にデジタルを活用した販路開拓・拡大への取り組み(段階4)は、2019年のおよそ4%(n≒200)から、2021年には10.2%(n≒480)と倍増しているわけです。
このように中小企業界隈でも、販路開拓・拡大の活動で徐々にデジタル化に取り組んでおり、デジタルツールそしてそのツールから得られるデジタルデータの活用は、今後も加速していくのではないかと考えます。もちろんそのデジタルツールに、CRMも含まれていることは十分考えられるでしょう。
2.CRM導入による顧客データの分析で、組織をドリブンさせる
では、ここからが本題です。中小企業がCRM運用によるデータドリブンの組織として成長できると考える理由を考察していきます。
なぜCRMが、データドリブンを促進できるのか?
まず、そもそもなぜCRMツールが企業のデータドリブンを促進できるのかについて考えます。その理由は、CRMツールにAIが搭載されていることで、さまざまな顧客データの集計やフィルター抽出が可能になっているからです。
CRMは顧客関係管理(Customer Relationship Management)として、顧客情報を一元管理する機能が備わっています。そして昨今、インターネット社会の浸透とIT技術の発達により、顧客の購買行動は複雑化してきています。
※それだけではなく、社会全体として供給過多の需給バランスの中、同じ商品群でも機能面や情緒面の差分に価値を見出すよう、プロダクトも複雑化されてきているようにも思えます。
つまり、購買行動が複雑になっている中、顧客のニーズとインサイトをいかに捉えて商品を買ってもらえるかを考えることは、これまで以上に難しくなっています。顧客の課題やニーズはネット検索でそれなりに収集できると思いますが、現場で得られた顧客データを抽象化して集計された2次情報が大半です。なので、ネットの2次情報は実際の行動データより解像度が粗いので、ニーズもインサイトも的確に捉えることは難しいでしょう。
では、どこでリアルな情報を収集するのかというと、CRM内に蓄積させた顧客データです。自社コンテンツに対する顧客のリアルな行動が、1次情報としてCRMツールに蓄積されています。そして上述した①②③④の全データを用いることで、特定属性のセグメント分析ができたり、2つ以上の説明変数を用いてクロス集計することが可能です。
このように、CRM内に蓄積している顧客データを基にさまざまな切り口で分析することができれば、最も企業売上に繋がっている集客施策が把握できたり、成約顧客の○○%以上が自社ページAを閲覧してから成約している、といったセグメント分析ができます(切り口次第で、購買につながるピンポイントなデータ集計も可能。)
逆に言うと、商談化につながらない広告訴求や、ROI(投資対効果)の悪い集客媒体を数値で把握することができるので、予算のムダづかいをなくすことにも活用ができます。まさに、マーケティング活動の全体最適化が実現できるというわけです。
これが、CRMのデータを起点とした意思決定、つまりCRM導入によるデータドリブンであり、収益性向上につなげられる方法論だと私は考えています。
※データ分析によるROI改善には統計学知識も必要になるので、まずはデータ集計・抽出から始めることです。私も現在、統計学の学習中です。
なぜ中小企業がデータドリブンで成長できるの?
そして、なぜ中小企業がデータドリブンで成長できるのかについてですが、これは担当者のKKD(経験・勘・度胸)に依存しないからです。
事業戦略として、ターゲット顧客や商品価値、プロモーション戦略など、成果が出るマーケティング活動を推進するには、それなりの知見と判断力が必要になります。しかもプロのマーケターは、顧客への洞察や取り巻く環境の分析を日々の業務で体得しており、企業の置かれた環境次第で戦略の取り方を変えるなど、かなりのKKDが求められます。
その点、自社の顧客やプロダクトに毎日向き合っている中小企業は、マーケティングに関するスキルセットがどうしてもマーケターより劣ってしまいがちです(批判するのではなく、それだけ顧客・プロダクトに向き合っているという意味です)。
そんなマーケターとしてのKKDによる意思決定は、そんな簡単には身につかない。だからその代替として、データによる意思決定がマーケティング活動の成果を高めてくれると考えています。仮説のもとでデータを適切に分析し、購買に繋がりやすい顧客導線を発見することで、実務へ落とし込む。これが、KKDに依存しないデータドリブンとして、中小企業が成長できる方法の1つだと私は信じています。
まずは「データを揃えること」から
以上、中小企業がCRMツールを運用することで、データドリブン組織として成長できる考察でした。
データ分析の経験と知識はそう簡単に身につかないので、実務でデータ分析に触れるところから始める方が、吸収スピードは速いと思います。まだ顧客データを管理できていない方は、データを整理しながら1か所に纏めていくことから始めてみてはいかがでしょうか。
以下は、データドリブン実現までに必要な大まかな流れを書いています。特に改善アクションは経験値が必要なので、実務で慣れていきましょう。私も頑張ります。
それでは最後に、この記事の纏めを書いて終わりにします。
では、これで本記事は終わりにします。最後までありがとうございました。