No.2『夜のピクニック』ーフリースタイル書評バトル第3回「型破りエピソード芸人」
■第3回「型破りエピソード芸人」参加芸人
当記事は、こちらの参加者のうち誰か1人が執筆したものです。
・錦鯉 長谷川雅紀 (ソニー・ミュージックアーティスツ)
・蛙亭 岩倉美里 (吉本興業)
・スタンダップコーギー 奥村うどん (マセキ芸能社)
・春道 櫻間心星 (フリー)
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No.2『夜のピクニック』
ある人物は言った。
「夜のピクニックを読んで、一緒に歩こう。」
詳しく聞いてみた。
『夜のピクニック』を読んで感化された3人が中心となり、集団で歩こう!という話になったそうだ。
今、メンバーを集めているらしい。
なるほど。よくわからないが、おもしろそうだ。
僕は、「いいよ!じゃあ、その本貸して。」と言った。
その人物は、「本を貸すのはだめだ。借りた本は読まない。自分で買え。」と言った。
その人物のこだわりなのか、経験なのか、よくわからないが僕は本屋で『夜のピクニック』を買った。
「人生で初めて、字だけの本買ったよ。」
と言うと、
「字だけの本て何だ!てめー小学生か!」
と怒られた。
『夜のピクニック』を読んだ。とても読みやすかった。夢中で読んだ。あっという間に読み終わった。
その人物に「どうだった?」と、聞かれた。
僕は、「おもしろかった!俺も小説書きたくなった!」と言った。
「そんなこと聞いてねーよ!歩きたくなったかどうか聞いてんだよ!」
と、怒られた。
『夜のピクニック』とは、修学旅行のない高校の話で、代わりに歩行祭という80キロを歩く行事の話である。
中心メンバーの1人から、電話がかかってきた。
「読んだか?歩いたか?」
僕は、「読みながら冷蔵庫にジュース取りに行ったり、トイレ行ったりして歩いたよ。」と言った。
「感情移入して、登場人物と一緒にあの場面で歩いたかってことを言ってんだよ!」
と、怒られた。
僕は、とんちんかんな返事をしたらしい。
そして『夜のピクニック』を読んだ人間20名程で、湘南からゴールの東京タワーまでを歩いた。
ただ歩くだけなら、余裕だと思った。
とても辛かった。本当に辛かった。
足が棒になるという経験を初めてした。
物語では、ただただ歩く中で今まで人に言ったことがなかった話を語り出し、お互い心の距離が近くなる場面があった。
人間は極限になると、そうなるのか⁉
実際歩いてみると、みんな疲れ果て会話もなくなりただ黙々と歩いていた。
なんせ全員初めての経験で、休憩の取り方などペース配分が下手くそだったからだと思われる。
「もう2度とこんなことするか!」
と、誰もが思った。
しかし、この我々の歩行祭は毎年秋の行事として行われることとなる。
『夜のピクニック』を読んで青春だ!と感化され、実際歩いた30オーバーの男達がいたことをいつか作者の恩田陸さんに会って言いたい。
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