人生を変えた一冊は犬の匂い
言い訳は優しく肩を叩くが、その後の面倒は一切見ちゃくれない
(MOROHA「三文銭」より)
こんにちはこんばんはフジカワです。
2投稿目にしてMOROHAを出してくるあたり、筆者の本気具合が伝わってきますね。
「血迷っているだけじゃないか」との声も上がっているようです。僕もそう思います。
さて、今回は僕の人生を変えた一冊についてご紹介したいと思います。
「椋鳩十の野犬物語」(理論社)
僕が人生を変えられた一冊は
椋鳩十(むくはとじゅう)先生の「椋鳩十まるごと動物ものがたり」シリーズの一つ「椋鳩十の野犬物語」です。
椋鳩十先生は、日本の児童文学作家の方の一人。
「大造じいさんとガン」というお話は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 今は分かりませんが、その物語は教科書にも採用されていました。
その他にも動物を題材にした、たくさんの物語を執筆されています。
さてさて、「人生を変えた」とは言ったものの、ワタクシ正直内容ほとんど覚えていません。
唯一覚えていることとしては、犬は匂いで人を覚えるから、野犬におにぎりをあげる時に、自分の唾液を混ぜて与えたという物語上のエピソードです。
本当になつくらしいんですよ。ぜひぺっぺっとお試しあれ。
しかし、それも「野犬物語」の中のお話だったか定かではありません。
「名犬物語」か「愛犬物語」だったかも……。
それで本当に人生変わったの?って言われるかもしれませんね。
ごもっともです、近いうちにまた読み直したいと思います。
鳩十先生ごめんなさい。
出会い
小学二、三年生の頃、脚をやっちまって以来(股関節炎)
外で元気に遊ぶことがめっきり減ってしまった僕は、漫画に浸る生活を送っていました。
僕の家はドラえもんとドラゴンボール全巻が置いてあるという、貴族となんら変わらない環境だったのです。それそれは恩恵を享受していました。
学校でも外で遊ぶ代わりに図書館の「はだしのゲン」や「かいけつゾロリ」といった、永遠のバイブルを読み漁る少年でした。
ある日のお昼休みのこと、いつも通り「かいけつゾロリ」を読もうと本棚へ向かったところ、本棚の上にケースが置いてありました。
そのケースに入っていたのが「椋鳩十まるごと動物ものがたり」だったのです。
ケースはパンパンに満杯でした。誰も取っていなかったからです。
ふと手を伸ばし、その中の一冊を取りました。
それが「野犬物語」でした。
物心ついた時から犬派だった僕は気になったのです。
「どんな物語なんだろう」と開いて見て、文字の多さに辟易しました。
とはいっても、今思えば挿絵も入っていたし、文字も大きかった。
文量自体はそこまで多いはずがないのですが、活字に慣れていないその頃は、一瞬読むのを躊躇いました。
しかし、内容が気になった僕は、最初からちょっと読むつもりでページをめくり始めたのです。
——気が付いたら、お昼休みが終わっていました。
何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…。頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
とまあ茶番はこのくらいにして、とにかく僕はその時本に没頭する感覚を得たのでした。
ためになるとか、感動するとかではなく、単純に次のページを開くことで見える、新しい世界への興味が尽きなかった。
それまでかいけつゾロリくらいしか読まなかった不良少年を、するするとリードを引くように文章の楽しさへ引っ張ってくれました。
その日を境に、僕は毎休み時間に図書館に行き、シリーズを読み漁る生活を送るようになりました。シリーズを読み終わった後も、別の活字の本を選ぶようになり、兄がよく読んでいた「星新一のショートショート」あたりに手を伸ばし始めたと思います。
僕と読書の最初の架け橋となってくれた。
だからこそ、僕はこの「野犬物語」が人生を変えた一冊だと言えるのです。
15年前に、文章で衝撃を受けた少年は
いまこうして文章に携わりたいと息を巻いています。
何か為になるフレーズがあったとか、辛い時心の支えになってくれたとかそういう話ではないから、人によっちゃ何でもない、薄っぺらい思い出話です。
でも、人生が変わることって多分、そこまで大それたことでもないと思います。
事実、僕は高校時代に恩師に出会い、大学時代に「よさこい」と出会い、人生が変わったと実感できる経験を得ました。
そして社会人になり、また「変えたい」と思っているのですから。
でも、「変わらないもの」があるとするならば、それは「野犬物語」にあるのかもしれない。もっと根深い、文章に対する気持ち云々とか。
だから、もう一度読んでみようと思います。
あの日と同じような感覚があるのか、もしくは「変わっている」か答えがどちらでも、オモシロイ。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
皆さんの大好きな本のお話もぜひ聞かせてください。
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