ワクチンとバカチン

ふれあふを　おそれるやうに　蝶二つ

こちらは、熊本の新聞社、熊日新聞社が主催する第37回熊日俳句大会にて、天賞を受賞された田嶋啓子さんの作品である。コロナ禍で人と人とが距離を取らなければならない時代を、心を蝶に見立て情景描写されている。

新型コロナウイルスワクチンの接種日が近い。

今か今かと待っているのだが、副作用が怖いというのも本音である。
しかし、コロナ以前の自由な往来と、街の賑わいを偲んでは、早いとこ摂取をし、一種の免罪符を得られることもやぶさかではないと感じる。

今月末の金曜の仕事終わりに、学校帰りの妹を車で拾い、そのまま接種会場へ乗り込む予定である。空いた枠の少ない中で、何とか兄妹二人分を確保することができたのだ。

僕の世代は、コロナの影響を最初に受けた世代ではないかと思う。手始めと言わんばかりに、サークルの卒コンも卒業式もなくなったからだ。
今となっては、イベントというイベントすべてがなくなっているのだが、そんなことを露も知らない僕らの学年は、当時哀しみの声を上げた。

ちなみに僕はその時点で卒業は決まっていなかったのだが、もの寂しい気持ちになったことは間違いない。(卒業はできた)

「変わる報道番組」を見て

ABEMAの「変わる報道番組」にて政府分科会の尾身会長との会談が行われた。
コロナ対応の連日の激務の合間を縫っての登壇である。
貴重な映像だと思い見ていたが、尾身会長は動画の中でこう語っていた。

「若い人のせいなんかではまったくない。ウイルスの特徴なんだ」

何だかぐっと胸に込み上げてくるものがあった。
尾身会長は今も最前線でコロナウイルス収束の為ご尽力されている方だ。
そんな方の専門家らしい事実ベースに基づいた若者へのフォローは、尾身会長なりの思いやりで、説得力も段違いで、何だか少し救われた思いがした。

この動画は現在YouTubeでもフル視聴が可能である。お時間があればぜひ、一見の価値は大いにある。

感染拡大の原因として、若者たちの行動が痛烈に批判されている。

確かに、若者たちのふとした行動がきっかけで、クラスターが発生しているという事実はある。感染しても症状の少ない若者が、無意識のうちに周囲へ拡散しているという事実も認めざるを得ない。

しかし、最近は輪をかけて若者のせいだという風潮が強まっている気がしてならない。
一方、大人の指示で学校行事やサークル活動など、“今しかできないこと”を徹底的に潰されているのは若者たちである。
封じられた活動や、想いが若者の小さな体に押し込まれて外へ出たがっている。そう思うと、今若者の外出が増えているのは、ある種自然の摂理に近いものすら感じる。

大人たちは「コロナが終わるまでの辛抱」と平気な顔をして出まかせを言う。
果たしてすべてが終わった後に残るのは、若者たちが若者たちでいられるその時間をかけてまで、走り回りたかった草原なのだろうか。志半ばで社会に放り出され、目の前に見えるのは、無念の思いに荒れた焼野原なんじゃないか。

「もう一生ない」の繰り返しの中で生きる、青春を生きる若者たちの今後の人生にどう落とし前をつけてくれるのか。
意味もなく集まって語り合う日や、夜通しカラオケで歌い明かした日や、浮足立つ春の匂いの中の成人式や、青春をかけてまで成し得たい学生時代の夢が、いくつ消えたか。いや消されたか。

あかん……ちょっと勝手喋りすぎた……。
一丁前に評論家気取りかよと言われても仕方がない。

しかし、一番苦しいのは実際の学生であるから、僕に本当の意味での理解はできないに違いない。僕は到底代弁者にはなり得ないけれども、noteは思いをさらけ出せる場だと信じてこの文章を書いた。

余談だが、放送の中で尾身会長は、登壇した若い人たちの意見に対し、まっすぐな目を向け、頷きながらメモを取っていた。
ここまで聞くことに謙虚な姿勢を貫ける人がいたのかと脱帽した。
一刻も早く、尾身会長を始めとした、収束の為今もご尽力くださっている、医療関係者の方々の想いが報われる日の到来を願ってやまない。

バカチン

ところで、ワクチンの副作用が発生しやすいのは、免疫力が高い人だとかいう、噂なのか事実なのか分からない情報が出回っている。

そして妹はその情報を妄信している人間の一人だ。
願わくば発熱して学校を休むことができればなんて不謹慎極まりないことを言う。まったく誰に似たのだろう。

そんな妹に提案した。
「夜10時に寝て早起きして、食事はバランスよく三食摂り、R1を飲んで適度な運動を心がけると免疫力UPするよ」

そんな兄妹を母は「バカチン」と一蹴した。

当たり前だ。反省した。

最後多少不謹慎な話になってしまった。実際、副作用はないに越したことはない。平和脳なことはよろしいが、ふとした油断で悲劇を生まないように肝に銘じるどころか焼き付けたい。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
意見は人それぞれにあると思いますが、それぞれ自分の思いに従った行動ができるのなら、本当の意味での間違いというものは存在しないのだと思います。

また、大人数で楽しいライブや祭りや飲み会がしたいですね。
やりましょう、だから、今できることをやっていきましょう。

#眠れない夜に