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『他者と生きる』を読みながら・・・

コロナ禍にあって、1月の子供会は22日土曜日に節分を行った。オミクロン株によりまん延防止等重点措置が始まったばかりの時である。通常とは異なる形で行ったことは、このnoteの「開閉」でも書いた。

https://note.com/sin2056jo/n/na99abcd76033

リスクと行事との関連は難しい。ただ、自分の都合や寺院の都合だけで見ないことが必要であろうミクロン株は今までの株とは異なり、感染力が強い。法事での席の設定もきっちり2m開けるなど気を使う形にしている。2月3日の朝日新聞の朝刊には「感染者が不織布マスクをしても、会話する距離が50センチだと、オミクロン株では最大10%ほど、25センチだと同30%ほどになった。」とある。出来うる限りの注意が必要なのであろう。

妻が関わっている学校のPTAも会合を最小限にし、文書で済ませられるものは済ませているとのこと。自坊も2月のヨガ教室、子供会、お経の会は中止し、代務寺では題目講や写経も参加者が比較的集まるので中止にした。感染状況をみつつとなる。

一方で、正しく見る、分析するということも必要であろう。『他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学 (集英社新書)』

を読んでいるが、志村さんと岡江久美子さん逝去に関して

新型コロナウイルスに関するコンテンツにおいて、全エンゲージメント量トップ3は全て志村さんに関連するものであり、彼の死の3月18日以降、銀座や六本木などの都内の繁華街で人の出が大幅に減っのたことが確認された。(中略)ふたりの死を通じ日本社会に共有された新型コロナウイルスの「ファクト」(それが正しいか、正しくないかはさておき)は次のふたつといえる。ひとつには、このウイルスに感染すると瞬く間に悪化し死亡する恐れがあること。ふたつには、死亡した場合、感染予防のために最後のお別れどころか火葬にすら立ち会うことができず、多くの場合葬儀も執り行えないということである。(92・93頁)

ここで著者の磯野さんはガイドラインでは問題ない火葬の立ち会いができなかったこと。報道があえて荼毘に付された姿を公共の電波流して最後の別れも出来なかったことを強調したことに触れている。

報道という情報に踊らされている部分もある。この前章で正しさについて以下のように述べている。

しかし他方で、非専門家が正しい知識を身につければリスクをめぐる問題は解決するといった素朴な考えは欠如モデルと呼ばれ、科学コミュニケーションの分野ではすでに批判の声が上がっている。また専門家や医療ジャーナリストがしばしば掲げる「正しい知識」「正しい理解」「正しく恐れる」というフレーズは、リスクに関して唯一無二の「正しい」理解や対応が存在するという印象を生みやすい。リスクは本質的にグラデーションであり、何をどのような形でリスクとして提示するかは専門家によって異なる。同じリスクであっても、個々人が置かれた文脈によってその感じ方、考え方は変わってくるため、それらを十把一絡げにできる「正しい理解」などは存在するはずはないのだが、実際一般に向けてはこの言葉が頻繁に掲げられ、かつ「正しく怖がる」といった言葉で個々人の感じ方にすら「正しさ」があるような啓蒙が行われる。        それに加えて私が目を向けたいのは、「正しい理解」のもとに行われる啓蒙的情報提供が、リスクの実感を身体ではなく情報に依存した形に変えてゆくことである。(80・81頁)

正しさが個々人の文脈でことなること、リスクを情報に依存して身体性を失いがちなことを指摘している。

正しく見るというのは、仏教の八正道の最初にあがる。欲望をおいて、ありのままにみることの大切さを示している。これは最初に上げられるものであり、最も大事なものだが、それだからこそ難しい。

往々にして我々は都合で見てしまう。しかし、一度冷静にものをみるが必要とろう。何を優先順位の上位に置くのか?

もちろん、世の中の要請に答えるは公益性においては重要だが、不用意に寺を開ければよいでもない。感染を促してしまえば、善意で行っても批判を受ける。建物の大きさや活動内容を吟味しなければ、蛮勇と批判されかねない。また自坊のような小さな寺では、妻にせよ住職である私にせよ。代わりがいない存在でもある。檀務に影響が出る形はなるべく避けながら行う必要があろう。

とすればあまりこの2月、オミクロン株がまん延している今、無理ができないのではないか?と考えている。リトミックは少人数な上予約性なんで行っているが…(コロナ以前は客殿でだったが、今は本堂で行っている)

3月以降どうなるかは不明だが、状況を見つつだが、ヨガ教室や読書会などを行いたいと考えている。

https://honkyuji.net/


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