「名も無い領域」

若い画家の個展、
彼の名は金子大悟。
個展は「名の無い領域」と
タイトルが付けられていた。
ギャラリーは那須町にある
「Space O(スペースオー)」。

「一人の人間に
まだ名付けようも無い
感覚が訪れたとして
それに名を与えてしまう前に
ほんの僅かでも良いから
時の猶予が与えられるべきだと思う」

金子画伯はそんなメッセージを
自らの個展に与えている。
彼の絵は街や建物や風景の記憶、
そのイメージを水彩で描く。
カラフルな光がほとばしり、
水の泡のようなものに変わる。

頭の中の脳が泡なのか、
目の中の瞳が泡なのか、
風景が泡に変わるのか、
夢が泡となるのか。
どちらにせよ、それは
儚く消えてしまうのだろう。