親友との再会

富山には中学時代の親友、Uがいる。
Uはテニス部とブラスバンド部で活躍した。
元気で愛嬌があってクラスの人気者だった。
富山の高岡で綺麗な彼女と結婚、金沢で
ティファナカフェのオーナーになった。
感度の高い人が集まる人気のバーだった。

Uが東京に来なくなって随分経った。
ボクも北陸に行く機会がめっきり減り、
今回金沢でほぼ30年ぶりに再会した。
待ち合わせ場所にいる彼はすぐにわかった。
若い頃から髪の毛が薄くなっていたが、
まだ残っていて日焼けした顔は同じだった。

太っていないのでキャップを被れば若い。
焼き鳥屋に入っていろいろなことを語った。
中学の同期たちは何をしているのか?
好きだった女の子はどんなになったか?
話は尽きずボクは持っている写真を見せる。
ヤツの嬉しそうな顔といったらなかった。

あっという間に高岡に帰る時間になった。
ボクはホテルへ行くバスに乗った。
バスのドアが閉まるとき胸が熱くなった。
Uが手を振る。ボクが手を振り返す。
なんだかもう二度と会えない気がした。
そう思ったら涙が溢れそうになった。