お尻拭き係
母が認知症になったとき
尻の始末ができなくなった。
下の世話をしてくださった
介護の方には感謝の言葉しかない。
関取の下の世話は
幕下の力士たちがする。
体が太く大きくなり過ぎ
手が届かなくなるからという。
英国王室ではお尻拭き係、
グルーム・オブ・ザ・ストゥールが
憧れの職業だった。
王様と2人だけで話せるからだ。
江戸時代は殿の尻はどうしたのか、
天皇陛下には尻拭き係がいるのか。
世の中にはまだまだ知らないことが
たくさんあるということだろう。
しかし、母が認知症になるまで
自分のお尻を自分で拭かない。
そんなことがあるとは思わなかった。
当たり前はいつも当たり前ではないのだ。