音楽の原点、打楽器アンサンブル

打楽器だけのオーケストラというものを初めて知った。
岡田知之さん、元NHK交響楽団の首席打楽器奏者を経て、
岡田知之打楽器合奏団を結成して文化庁芸術祭賞を受賞、
彼の合奏団が奏でる出色の打楽器世界紀行を楽しめる
「華麗なるパーカッションアンサンブルの世界」を聴き、
驚愕とともに何と愉しい打楽器の世界があると感嘆した。

岡田さんは東京芸術大学講師から国立音楽大学講師となり、
打楽器アンサンブルの授業を担当して教授にもなった。
岡田さんが育てた打楽器アンサンブルの演奏会があった。
玉川上水まで電車を乗り継いで赴き、国立音楽大学の
現役学生が奏でる打楽器の世界を味わわせてもらった。
打楽器のヴァラエティの豊富さ、奏でる音色に酔った。

米寿となった岡田さんがステージに立って指揮を執った。
水野修孝の「“鼓”-指揮者と8人の打楽器奏者のための」。
8人の学生たちは顔を歌舞伎のようにメイキャップし、
各々和服を着流して様々な打楽器を演奏する。
ティンパニ、タムタム、バスドラム、スネアドラム、
ボンゴ、コンガ、トライアングル、カウベル……、

マスカラ、カスタネット、縞太鼓に舞台を叩く拍子木。
静寂と鳴動、掛け声、複数のリズムと複雑な拍子の同時演奏。
途中には暗くした舞台に閃光が点滅し、奏者は狂ったように
舞台を踊り走り回り、各々の打楽器を思い切り叩いていく。
ラストは激しい雷雨を歓喜するドラマティックな盛り上がり、
拍子木の拆を打つリズムで舞台の幕が降りるように終わる。
圧倒的なエネルギーが舞台上に爆発したアンサンブルだった。