高関健指揮による、ブルックナー「交響曲第8番(ハース版)」_2020年8月13日
2020年8月13日に、高関健指揮によるブルックナー「交響曲第8番(ハース版)」を聴いてきました。
最高! 最高!! 最高!!!
「ブル8」については色々な印象を持つ人がいますが、私にとって「ブル8」は、美しい情景を丁寧に集めた短編集の様な交響曲で、とくに初めて聴いた時は涙で視界が滲んだ。
拙著「桜の園」で描いた、農奴出身の実業家であるロパーヒンが、身分違いの初恋の相手である貴族のラネーフスカヤを、そっと見つめるときの心境をありありと思い出したのです。
けして触れることの叶わない、永遠の憧憬。
かけがえのない記憶や、遠い昔の何気ない光景に満ちていた無償のやさしさ。
命が尽きる瞬間に、走馬灯を見ている様な気持ちになる。
この数年間、輪廻転生を題材に小説を書いているから特にそう感じるのかもしれないけれど、たとえば私の命が尽きる瞬間に皮膚の内側を巡る走馬灯は、「ブル8」を聴くときに見えるような、美しい情景であってほしい。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第332回定期演奏会。
スタンディングオベーションをしたので、髪がボサボサです。