翠水

趣味で詩を書いています。

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最近の記事

詩 / 亀

私は亀です 鈍重で鈍感な亀です 何をしても周りに先を越されてしまいます 私は亀です ひびの入った亀です 周りに踏まれ続け外に出るのが恐ろしいです 私は亀です 苔の生えた亀です 産まれてそれほど年月が経っていないのに 年相応に見られず老いている様です 2024.10.2.2:44

    • 詩 / 豚

      私は豚です 泥まみれの豚です 一度も空を見上げた事がありません 私は豚です 養豚場のありふれた一匹の豚です 皆が寝る頃に私は泣いています 私は豚です 食べられる為に肉は裂かれ骨は砕かれます 明日になったら抵抗も虚しく 鳴きながら屠り場に連れて行かれます 2022.3.14.1:15

      • 詩 / 孟秋

        酔って寝ながら心の内に秘めた女の事を想い浮かべる 神の寵愛を一身に醸し出す女の姿を 満たされない情慾に駆られ 至福と絶望に挟まれ眠りに就こうとする 心の臓は酒とあの女を理由に高鳴り続ける ユダの次子の様に欲望は行き場がなく彷徨い流れる 神を理由にこの身は昂ぶる 若く辛苦の耐え難き日々に未だに一人の女を姿を現さない いつか恋い焦がれる日々は落ち葉が踏まれる頃に終える事を 祈りつつ叶わぬ愛を望みながら深き眠りに就こう 夜空には月が浮かぶ 2017.9.25.1:51

        • 詩 / 陶酔

          寝落ちるまで胸が高鳴って貴方に寄って 貴方を想いながら顔を赤らめた深夜の呑んだくれ 寝落ちるまで貴方を謳い詩を書いて 陶酔し息を荒だてた現実の中 貴方を信仰した真夜中の夏の終わり もう眠ってしまえ この夜に貴方を賛美しながら 貴方以外は何も想い浮かばない とにかくいい夢を見るんだ 貴方と共に映る海は薄紫で朝焼けに照らされて 水平線のその上は乳白だか桃色だか貴方の愛に酔いながら 白百合の様な衣服を着た貴方に見惚れながら 長い黒髪の貴方に少年の様に恋心を抱き 初恋から晩年

        詩 / 亀

          詩 / 「種II」

          悪の種を撒こう 耕やされた土に粗末に植えた 粗種を幾つも零して流した 悪の種を撒こう 生い茂った地に忍ばせる様に 這いつくばり顔を伏せながら 悪の種を撒こう 恵まれた地を何度も我が物とする為 楽園の花々の影で神に見つからぬ様に 2021.11.18.0:53

          詩 / 「種II」

          詩 / 「種」

          神の種を蒔こう 粗末に植える事なく 一粒も取り零す事なく 神の種を蒔こう 荒い地にも泥土にも 両の手に鍬を持ち土に塗れながら 神の種を蒔こう 願われた福地を取り戻す為 追われた園に再び帰る為に 2021.11.18.0:53

          詩 / 「種」

          詩 / 「紅花神」

          私を見つめる紅い瞳 恐ろしく見つめる瞳孔は 私の心を覗き込む そして見透かされている様だ 私をじっと見つめる紅い花 奇妙な花芯は世界の起源を彷彿とさせ 暗闇の中に佇むこの一輪の花は小さい神の様だ この花から漂う暗香は愛や狂気を巡らせる 思考し錯誤し己だけの真理を得ただのと勘違いをする 誰にも理解など出来ない、芸術の産物か創造の欠如か この花から零れ落ちた種は 希望かそれとも不安の種となるのか 精神の狂気に満ちている私には すぐさま答えなど得られる筈もないのに 2024

          詩 / 「紅花神」

          詩 / 恋慕

          来て下さい 私の腕を貴方の枕にして下さい 貴方が私の手を掴んで下さるのなら 貴方の手を引きいつまでも離さずにいます 私の元へ来て下さい 私の身を貴方に委ねさせて下さい 貴方が私の元を訪ねて下さるのなら 貴方に身を寄せいつまでも寄り添っています 私の元を離れないで下さい いつまで待ち続けながらこの胸の熱は何処へ追いやれば良いのでしょう 私が貴方を呼べば来て下さいますか 2022.8.4.0:10

          詩 / 恋慕

          詩 / 枯花

          枯れた花の歳を過ぎた貴方の後ろ姿 皺の手はきっと温かいのでしょう 杖をつく頃は直ぐに来てしまう 独り歩く貴方を見ては心を傷める 他の誰が貴方を気に留めるのか みな家族の様で有ればどれほど良かったか 萎れた花の様な貴方の首から上 熟れきった心はきっと暖かいのでしょう まだ貴方を気にかけて止まない 腰掛けで休む貴方は 木陰で咲く花の様だ 少し遠目で貴方を大切に想う

          詩 / 枯花

          詩 / 「若葉II」

          萌えたばかりの若い芽 触れた者は誰もなく 僅かばかりに私におもてを上げる 間もない緑の極小葉 恐れ多くも触れようとすると この芽は拒むだろう 幼さを感じられる双葉の微笑みから 母の様な美しさが約束された 花咲く時を迎える為そばで見守っていたい 水を与える者が私であれたなら 陽を照らす者が私であれたなら 御愛の時よ、私はいつまでも知らないだろう 夜の森林、短い暦の唄 大きな若月の光に照らされた 小さな若葉をいつまでも見つめていたい 2022.7.12.23:47

          詩 / 「若葉II」

          詩 / 若葉

          澄み切った空気が漂う森林の中で息を整え 一切の霧はなく斜陽が緑を射た茂みに 小さく咲く若葉が私の励みになる 光が私に当たり天に見つかり霞を想う 滴る雨に葉は濡れ虫が近寄り小風に押される 触れる事が叶うなら私の手で拭ってしまいたい 小さく咲く若葉が微笑みかけた この眼にはいつまでか尊く写り 芽には清く澄んだ水で潤して 花や実が開花する瞬間まで深い緑に彷徨っていたい 2022.7.10.0:49

          詩 / 若葉

          詩 / 「稲妻」

          光の速度で一人の男に落ちた電光は その男のこめかみを刺激した それは一瞬の悟りとして現れ 人の最も神域な場所に落とされた 何故、電光は落とされたか 自然の気まぐれか神の御心か 何にせよ人は刺激を求めている 日々、退屈な生活な為に それは盗人の様に突如として現れる 光の速度で私の意識する間もなく それは私の意図を痺れさせて 人の脳裏の神域な場所を犯す 2020.2.10.0:25

          詩 / 「稲妻」

          詩 / 人造

          神が人を造った様に 人もまた機械を作り 神が人体を設計した様に 人もまた機械を構成する 人が意思を持ち始めた様に 機械も意思を持つのか 人が繁殖する様に 機械もまた複製し 新たな産物を生み出すと言うのか 人が神を求めた様に機械もまた人を求め 人が神を殺した様に機械もまた人を殺すのか 信仰故に人が神を語った様にいつか機械が人を語り 神々が何だったかと伝承された様に 機械もまた人々が何だったのか伝達し合うのか 多くの人が愛を知らなかったが為に 機械も愛を知る事は少ない

          詩 / 人造

          詩 / 灼熱lll

          火照る我が身に全ての激情を込めて 揺るぎない憎悪の化身となって 幾星霜の愛の傷みを込めてこの身を裂く この世の果てまで燃え滾って 終わりを迎える事のない地獄 耐え難き生の惨劇 人の生まれから死ぬ迄の全ての愛の痛みよ これが地獄なのだ 乱れて咲け悪性の花よ そして誇れ赤き悪神の如く 地獄の業火でさえ焼かれる事のない花よ 貴方を見る者の全てを惑わし燃やし尽くし 肉体は揺らめき狂乱する 貴方が私に触れた時 私は最も崇高な火に焼かれ灰から目醒める あの御方の起こす火の海は終末の到

          詩 / 灼熱lll

          詩 / 灼熱II

          彼女は踊り揺らめき人の心を惑わす 我が身は火の中で彼女に焦がれ その肉体を追い更に燃え盛る そうだ、これが真の暖かさだ この世の他では味わえぬ心地良さだ 皆もその身をを火に捧げてしまえばいい その生命を火に投げ打ってしまえばいい 人はいずれ死に行くのだから 火に飛び込み焦げてしまえばいい 人は骨となり灰となり塵と消える 燃える大地の消えぬ揺らめきよ 周りを見渡せば皆、火の中で踊っている 灼熱の中で肉体を揺らしその身は蠢く 喜んでに死に向かう様だ まだ足りない様だ 消

          詩 / 灼熱II

          詩 / 灼熱

          彼女は大地を燃やす この世の全てを燃やし始める 全てを燃やし尽くし眼を閉じて 私の頭の先から足の爪の先まで 炎の揺らめきを感じる 辺り一面を火の海にする これは地獄の業火だ 彼女は燃え滾る炎 彼女が目覚めると世界は砂漠の様に暑くなり 彼女が起き上がると世界は焼かれ悶える 彼女を見つめる者は眼が焼かれてしまう 誰も彼女を直視出来ぬ、誰も彼女を奪えぬ 彼女は燃え盛る炎 私の瞳は焼かれ私の下部は燃える 私は彼女と燃え踊り焼かれて灰となる この世は全てが灰に帰ると彼女は教えてくれ

          詩 / 灼熱