スマートウォッチバッテリー調査(カシオ、ファーウェイ、シャオミ)
スマートウォッチを始めとしたウェアラブルデバイス。
スマホがあれば腕時計なんていらないという人が少し前までは圧倒的だったような気がするが、Apple Watchのおかげなのか日本でも身につける人が増えてきた。
うちの両親もメーカー不明の謎の中華製スマートバンドを付けているし、ビジネスマンですらアナログウォッチではなくスマートウォッチを付ける世の中だ。
自分も今までにいくつものスマートウォッチを使ってきたが、最新のウェアラブルデバイスの情報が最近続々と出てきたので、自分の持っているものをこの機会に再認識してみようと思う。
比較するスマートウォッチ
・HUAWEI Watch FIT Elegant (HUAWEI)2万円(セールで1万4000円)
・Mi Band5 (Xiaomi)4500円
・Protrek Smart WSD-F30 (カシオ) 6万円(5000P還元)※もう売ってない
3つのうち2つは中国企業のウェアラブルデバイスだ。
「中国製は危険!」「データを漏洩させるのか!!」という人も居るだろうが仕方がないのだ。
なんかもう価格どころか性能面でも、まともな中国製は上を行く。
中国だからと上から下まで一緒くたにしてはならない。
そして自分のデータはすでに米国にも日本にも韓国にもダダ漏れなので今更である。
あと正確に言うと、Mi Band5は「スマートバンド」というカテゴリに入る。
スマートウォッチより圧倒的に小さく、バンドも細い。
HUAWEI Watch FIT Elegantは、スマートウォッチなのかスマートバンドなのかよくわからんカテゴリなのだが、一応ウォッチ寄りらしい。
どちらも独自OSを導入しているので、Googleのアプリストアから何かをデバイスに追加したりは出来ない。(管理アプリはあるけど)
カシオのProtrek Smart WSD-F30はGoogleのwearOSの入ったスマートウォッチだが、発売も2018年で、もう売ってないし自分も普段は使っていないので、完全に今回の調査ではおまけだ。
普通に使うとバッテリーのもちは1日といったところで、毎日充電必須。
世間のスマートウォッチはこういうのが多い。
どうせ普通に使ったときの結果は見えているので、今回はスマホにも繋がず、モノクロ画面で放置してどれだけもつのかを調べてみる。
普通ではありえない使用状況なので、参考にはならないとだけ言っておく。
100%からどれだけ放置するとバッテリーが空になるかを試す感じだ。
1週間の実験結果
一週間の変化をグラフにするとこんな感じになった。
(Googleスプレッドシート初めて使った)
カシオが1日遅れスタートなのは、あとからやろうと思いついたから。
充電は0%から100%になるまでに2時間半かかった。
公式では約3時間と言っているので、少し早かったという意外な結果。
そしてカシオは残量10%以降データが無くなっているが、これは後述する。
(途中にも切れ目があるが、それは計測忘れ)
ちなみにファーウェイはバッテリーが切れた後に90%まで充電して再開したので、こんなグラフになっている。
【結果の詳細】
ところで公式が言っているバッテリーのもちは?
そうだ、まずそれぞれのデバイスでどれくらいの期間使用できるかの公式見解について話していなかった。
注意として、こういうのは公式で指定された使い方をした場合の使用時間を言っているので、実際にガチで機能を使い込んだ場合は公式が言っている半分しかバッテリーがもたないくらいに考えておいた方がいい。
では公式がバッテリーのもちをどう言っているのかというと、
・HUAWEI Watch FIT Elegantは、公式の使用法では10日間。
・Mi Band5は、公式の使用法で14日間。
・Protrek Smart WSD-F30は、公式の使用法では1.5日。
こんな感じになる。
ではこれを加味して結果を見ていこう。
HUAWEI Watch FIT Elegantの結果
HUAWEI Watch FIT Elegantは約78時間(約3日)でバッテリーが0%になった。
この結果を見ると、「10日間もつって公式は言ってたのに3分の1以下じゃねぇか!さすが中華だな!!!」とか言う人がいそうだが、もちろん理由はある。
以下が公式の言う10日間もたせる使用法だ。
公式の言っている10日もたせる使用方法では、週に1回、30分のワークアウトなのだが、自分は充電が切れるまでに毎日ワークアウトを行い、計9時間の屋内サイクリングのログを取っている。
公式では週1で30分の運動を想定しているので大きく乖離がある。(週1で30分はどうなんだと思うが)
グラフを見るといきなりガクッと線の傾きが急になるところがあるのがわかると思うが、これは運動ログをとったあとの落ち込みだ。
屋内ワークアウトだからGPSは使ってないと思うが、なんかこれを見ると使ってる気がしてくる。そう思う理由はMi band5の結果で詳しく話そう。
ちなみに睡眠ログはON、血中酸素濃度計測はOFF、心拍も5分に一回計測。
今回の設定はあくまでも自分の使い方でどうなるかだ。
だから公式の想定よりは確実に持続時間は少なくなるとは思っていた。
でも正直な所、約3日間という結果は残念ではある。
だがこの製品が凄いのは、0%になってからの回復能力だ。
30分の充電で75%まで回復しているのは驚異的と言える。
(カシオのスマートウォッチは、30分だと20%くらいの回復量)
これがHUAWEIの強みでもある。
ちなみに90%になるまでにはプラス30分かかっているので、0%から90%にしようとすると計1時間かかることになるが、これはEV等と同じで満充電に近づくにつれて充電速度を抑える急速充電の仕様によるものだろう。
バッテリーの劣化をさせたくないなら、普段遣いでは充電は80~90%くらいまでにするのがちょうどいいかもしれない。
Apple Watchなどとは違ってHUAWEI Watch FIT Elegantは、バッテリーが80%もあれば睡眠ログをとったりしても48時間以上余裕で使えるので、普段遣いでの安心感がすごい。
とまあここまで言っておいてあれだけど、HUAWEI Watch FIT Elegant買うよりはHUAWEI Bandシリーズ買ったほうが幸せとは言っておく。
あっちのが安いし、バッテリーももつし。(公式発表では14日間)
Elegantとの違いは、ほぼバンドの素材くらいのものだ(Elegantはフルオロエラストマー)。そしてそのバンドも、使っていると普通のシリコンと特に変わらなくなってくる。
少なくとも自分のElegantは、最初に付けたときの感動的な触り心地はもう消滅している。悪いことは言わない、買うならBandにしとけ!
あとはバッテリーとは関係ないが、睡眠ログが3回ほどおかしなことになっていたのはよろしくないと思った。
確実に起きていてPCを使っていた時間が「浅い眠り」扱いになっているのは流石に看過できない。布団でまどろんでいるときならともかく……。
新型では良くなっていることを願う。
まあでも各社のスマートウォッチより圧倒的に軽くて小さいし、バッテリーがもつのは確かだ。
運動ログを取ってなければ、4~5日くらいは行けそうな気がする。
タイマーやワークアウトへのアクセスの悪さがあったりで、UIが素晴らしいとは正直言い難いが、ずっと付けておけるギリギリのサイズの製品ではある。
もう中国を馬鹿にしていられた時代は終わったようだ。
Mi band 5の結果
素晴らしい。
なんと一週間が過ぎても40%以上のバッテリーが残っている。
公式の使用法では14日間と言っていたが、
こりゃ自分の使い方でも10日くらいはいけるんじゃないだろうか?
ちなみに以下が公式の14日間もたせる使用法だ。
今回自分はスマホに繋ぎつつ、5分に一回の心拍測定にしている。
行ったワークアウトの合計時間は18時間を越える。
もちろん睡眠や運動のログもちゃんと取っている。
だがグラフを見ると、ほとんどラインに変動がないのがわかるだろう。
ワークアウトを行っても、バッテリーが急激に消費されたりはしていないのだ。これがHUAWEI Watch FIT Elegantとの明確な違いで、その原因が自分にはGPS搭載の有無くらいしか考えられない。(Mi bandはGPS非搭載)
やっているワークアウトは屋内でのエアロバイク。
なので使っている機能は心拍計測くらいのものだろう。
露骨に電力を消費する要素は素人目で見るとなさそうに思える。
両者でバッテリー消費にここまで差が出るのは、やはりGPSくらいしか考えられない……。
いや、もし本当にそうだとするなら、勝手にGPS使ってバッテリーを浪費しているHUAWEI Watch FIT Elegantヤバすぎるやろ……ってことになるのだが、情報があったらお知らせ願いたい。
ちなみにMi band 5は最新のスマートバンドではない。
今はMi band 6が存在し、直近ではMi band 7も発表されている。
実際、自分がMi band 5を買ったのもかなり前だ。
しかしこれは本当に睡眠ログやワークアウトを管理する上では優秀なデバイスなのだ。なにより着けていて本当に気にならないレベルのサイズと軽さ。
そしてUIもHUAWEI Watch FIT Elegantよりは少しは良いと自分は思う。
ちなみに睡眠ログに関しては1回だけ布団に横になっての動画視聴タイムを睡眠扱いしていたが、あとはバッチリ。
1万4000円のHUAWEI Watch FIT Elegantよりもログはまともだった。
もちろん気になるところをあげようと思えば色々出てくる。
例えば、睡眠ログは本体では見れないのでスマホのアプリを使わなきゃいけないとか、タイマーは一つしか記憶できないので、毎回数値を自分で入力し直さないと駄目だとか、画面が小さいので文字も小さすぎて近くに寄せないと見えないし操作しにくいとか、外で明るさが足りないとか、なんか出先でよくバンドが外れるとか、秒数がわからないとか……。
でもこれ、『4500円』なのである。
この完成度で4500円なら文句言ってるのもおかしな感じがする。
4500円以上の活躍は確実にしてくれているのだから。
ちなみに自分が使っているのはグローバル版だが、義務教育を受けた日本人であればなんの問題もなく使えると思うので、日本版を高値で買う必要はない。
おまけのProtrek Smart WSD-F30の結果
最後におまけのカシオのProtrek Smart WSD-F30。
これはまごうことなきスマートウォッチだ。
しかし発売は2018年。心拍測定機能もついていない。
ライフログという観点からすると使いものにならないのが正直なところだ。
そもそも買った理由も仕事用&登山用だったので、ライフログ機能の有無は問題ではない。用途が違うのだ。
今回の計測では、モノクロ画面で完全に放置するというものだったので、スマホにも繋いでいないし、ただただ秒数を刻むだけ。
実使用でのこんな状況はまず考えられないだろう。
結果を見ると、5日とちょっと経過して残り10%になり、
その後就寝して起きてみると、謎の節電モードに突入していた。
そのモードでは完全にモノクロ画面に固定され、表示されているのは「曜日」と「日にち」と「時刻」のみ。バッテリーの残量がわからない。
(普段は下のエリアに残量の数値が出る)
それでも秒数は刻んでいるので時計としてはこっちのほうが優秀と言える。時計としてはだけど。
これもまたアウトドア向けウォッチゆえの自動モード切り替えなのだろうか。
でも正直なところ驚いた。
なぜならこのスマートウォッチ、普通に登山用としてスマホに繋ぎながら登山ログを取ったりして使うと、1日でバッテリーがなくなるような代物だからだ。
全然普段用途としてはありえない計測とはいえ、モノクロ画面だけなら5日もつのか。
このスマートウォッチはアウトドア用として作られているので、実は更に長持ちさせる特殊なモードを使えば、100%からだと一ヶ月もつらしい。
まあそのモードを使うと本当に何の機能もないただの画面が見づらい時計と化すので、
遭難してどうしても時計のバッテリー消費を最小限にしたいときくらいしか使わなそうだが。
自分がこのスマートウォッチを使わなくなった理由としては、仕事を辞めたのもあるが、やはりライフログもとれないし、バッテリーも持たないし、
なによりゴツいからというのが大きい。
普段常に付けていようと思えるサイズと重さではない。
(あと正直、買った当時から挙動がもっさりしてる感じはあった)
しかし機能面ではやはり強い。
アプリを2つの物理ボタンに割り当てられるし、
地図機能も使えるし、
秒数はちゃんと見れるし、
アラームを何十個も設定できるし、
タイマーに即アクセス出来るし、
ランチャーアプリでWearOSの酷いUIを改善することができるし、
日出没時刻、潮汐、コンパス、月齢、気圧、標高、全部見られる。
しかし致命的にバッテリーがもたない……。
これは最新のスマートウォッチでも基本的に解決していない問題だ。
あれこれできるOSを搭載した宿命なのかもしれない。
まとめ
かなりの期間の調査がようやく終わったが、まず言えることは、
『Mi band 5すごい』
今回の3種の中で一番安いのに、一番長もちで、一番正確なログを残した。
まあだからといってMi band 5が万民にウケるかと言えば、そんなことはない。
自分も不満があったからこそ、HUAWEI Watch FIT Elegantを追加で買ったわけで。
例えば見た目。
明らかに安っぽい。そして実際安い。
ビジネスマンがこれを着けるのはアウトかもしれない。
それと比較してHUAWEI Watch FIT Elegantは実にエレガントだ。
そして個人的にはMi bandのバンドの外れやすさが結構気になる。
Mi band 5は穴にピンを刺すだけの固定方法なのだが、シンプルすぎて何かに引っかかるだけですぐ外れてしまうのだ。
家にいるときは一度も外れたことがないのだが、外出して少しアクティブに過ごしていると何かしらの影響で外れることが多い。
別にそのせいでバンドが地面に落ちたりはしないのだが、付け直しが面倒。
これに関しては最新のMi band 7でも同じ構造っぽいので悲しい。
そうなってくると、HUAWEI Watch FIT Elegantはやはり良い。
いや、上でも言ったようにHUAWEI Bandシリーズの方がもっと良かったとは思うけど、バッテリーもこれだけもてばまあとりあえずはOKだろう。
そしてつけ心地に関してもそこそこ良好で、Mi bandのような着けているのを忘れるレベルではないにしても、その他多くの大型スマートウォッチよりは良い。
Mi bandと違って普通の時計と同じような仕組みのバンドなので、何かに引っかかっただけで外れるなんてこともない。
画面サイズもいい感じの大きさで見にくいこともなく、睡眠ログも一日分だけとはいえ本体のみで確認可能だ。
まあUIに関しては正直どうにかして欲しいことが多々あるので、もっとカスタマイズさせてくれよと思ってしまうが。
(タイマーやワークアウトへのアクセスが悪すぎる)
あとは計測精度もMi bandの方が正確だったのはなんだかなぁと思う。
今回HUAWEI Watch FIT Elegantは運動ログを取りまくったせいか、
3日しかバッテリーがもたなかったが、普通に使えば4~5日はいける。
それに風呂に入る前に充電コードをつなげて、30分充電するだけで急速充電による相当な回復が可能なので、普段遣いはなんの問題もない。
睡眠ログをとろうとも、朝起きて充電残量を気にする必要がないのが強みだ。
Apple WatchやGoogleWearOS搭載のスマートウォッチでも睡眠ログの計測が可能なものはあるが、バッテリーがもたないスマートウォッチでログを取るのは問題があると自分は思う。
朝起きたら残りバッテリーは50%で、でもそのバッテリーじゃ会社から帰るまでもたないだろうから、腕から外して充電しながら朝ごはんを食べ、またそれを腕に巻いて会社へ……これを毎日繰り返すのはめちゃくちゃ面倒だ。
朝の充電が出来なかった場合、仕事の合間に充電を……なんてことを考えただけで頭痛がする。 無職だけど。
まあつまりは、
3日はバッテリーのもつウェアラブルデバイスで、
自分の気に入ったデザインで、
自分の重視する機能が入ったものを使えば、
幸せになれるよ。
ということだろう。
ひねりもなにもないけど。
おわりに
ファーウェイとシャオミが最新のスマートバンドやスマートウォッチを発表したのでテンションが上がってこんな記事を書くことになったが、
謎のやる気でずいぶん長いこと調査してしまった。
今のところHUAWEI Watch FIT Elegantに致命的な不満はないし、変わらずエレガントな感じで行くことになるとは思うけれど、やはり最新機種は気になる。
思えば最近の自分はすっかり中国製品に囲まれている気がする。
いや、メイドインチャイナという意味では、ずっと前からそんなもんだった気もするけれど。
今や中国製品は価格だけでなく性能面でも世界のトップを走るようになっているんだなと思うと、古い認識のままではいけないなと思わされる。
世の中はどんどん変わっていくのだ。
今回Protrek Smartを引っ張り出して久々に使って(放置して)みたが、当時の懐かしさがこみ上げてきた。
記事中では戦力外みたいな感じで紹介はしたものの、仕事用途ではめちゃくちゃ使い勝手がいいスマートウォッチではあったのだ。機能面が素晴らしい。
アウトドア仕様なので、仕事での粉塵やら水やら雑な扱いにも耐えてくれたし、本当に良い相棒だった。
しかしニートとなった今、登山以外で出番はないのだ……。
せっかくだし、Protrek Smartが一ヶ月本当にもつのかを試したりしようか。発売から4年経っているのでバッテリーの劣化もしているだろうし、さすがに一ヶ月は無理な気がするけど、他にやっている人も居なそうだし。
……いや、普通にどこにも需要なさそうだな。
(とりあえずMi bandがどこまでもつかはこのまま実験を継続する予定だ)
というわけで、みなさん良いウェアラブルライフを。
あれこれログを取るのはとても楽しい。
あと謎の会社よりは、名の知れた会社のものを使ったほうが良いぞ!
~完~
【続報】