見出し画像

吊り橋効果を体験した話

こんにちは、夏乃柊木と申します。今回は私が高校の時に体験したほんの一瞬の恋愛についてお話しします。

1:ファーストコンタクト

 2年の夏に所属していた部活を辞め、フリーになった訳ですが、文化祭ではそのフリーな生徒を集めて何か出し物をしなくてはなりませんでした。私は高校で特進コースに所属していたので、同じコースの人達は集められてしまいます。確か劇か何かをやった気がしますが詳しいことは忘れました。作業をしていると私に話しかける1人の生徒がいました。それが初めての出会いでした。

2:悪いけど

 特進コースは1年時、2クラスしかありませんでした。なので大方特進のメンバーは、喋ったことはなくても顔くらいはみたことがあるのです。しかし彼女のことを私は一切知りませんでした。特進に初めからいれば顔くらいは知っているはずなので、私は彼女に話しかけられた時驚くことしかできませんでした。ここからは彼女をXとして進めていきます。

3:時が進むとさ

 実際に話してみると意外にも話が合いました。部活の人間関係に疲れて傷心していた私にとっては救いとも呼べる存在だったと思います。文化祭の準備が進んでいくと同時に私のXに対する興味も増していきました。正直、自分でもなんでXが気になるっているのかまだわかっていませんでした。

4:夏乃柊木、勇気出しました。

 Xは劇に演者として出演していました。中々に迫力のある演技をする方でした。舞台の世界でも生きていけそうなほど。普段と舞台上でのXの雰囲気というものは全くの別物でした。私はその日ある事を伝えようと決め、妙にそわそわとしていたのですが、リハーサルが終わりすぐXに言いました。いや、言ってしまいました。
 「よかったら連絡先交換しませんか」
本当にバカな奴です。まだ周りに人がいるというのにこんな事を言うのは愚かとしか言えません。ですがしっかり連絡先は交換しました。周りにはもちろん人がいました。そういうことは後でやれよという質問は一切受け付けません。

5:文化祭が終われば

 こんな友達なのかそうじゃないのかわからないような関係も、きっと文化祭が終われば消えると思っていたのですが、そんな都合のいいことなど起きるはずもなく、私は悶々とした日々を過ごします。勉強など手につくはずもなく、上の空でした。そして帰宅するなり、Xとメッセージのやり取りをする。そんな生活が続き、私はこの関係を断ち切るのか、発展させるのかどうすべきなのか迷っていました。

6:マジで何してんだろ

 とうとう私はXに思いを伝えることにしました。Xは受け入れてくれました。はい。

7: なんか違う

 しかし文化祭の時のように仲睦まじく話したりすることができなくなっていることに気付きました。悪いのは自分にある、だからもうちょっとうまくやらねば、そう思いXと接してきました。おそらくそれが裏目に出てしまったのだと思います。

8:あーあ

 別れました。楽しい時間は一瞬にして終わりました。考え込んむ時間は永遠に続くのではとさえ感じていました。原因など言うまでもありません。前の方が仲良くできていた気がする、接し方がわからない、これに尽きます。頑張りが空回りしていたことにここで私も気付きます。そもそも頑張っていたのかすらわかりません。直情径行型の人間は、人間として劣っていると私はここで痛感しました。

9:気がつけば

 LINEを特定の人物のと会話以外にほとんど利用しない私は、思い立ってトークを漁ってみると、Xのと履歴が消えていることに気が付きました。履歴を消すことすら面倒と感じる私はまず自分からは消しません。知らぬ間に嫌われたということなのかもしれません。XのLINEのアカウントも気がつけば無くなっていました。

10:終わり

 以上、夏乃柊木が高校2年の時に体験した吊り橋効果による一瞬の恋愛でした。もはや恋愛と呼べるのかもわかりません。人を好きになるということは、その人をいつか嫌いになるかもしれない、というリスクを孕んでいます。文化祭のような特殊な場面では自分の感情に気づきにくいため、妙な高揚感を恋愛感情と誤認し、その後気持ち悪いくらいカップルが誕生することがあります。私も、数ある人間のうちの1人に過ぎないと感じた瞬間でもあり、自分に特別なものなどないと再確認できました。恋愛に失敗はつきものだと思うので、よくある失敗例を身をもって体感したと言えばそれまでですが、Xにとっての貴重な時間を私という人間が奪ってしまったことには変わりません。いつか時が来ればその時は直接謝罪がしたいと思っています。
 以上、夏乃柊木でした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?