現代の理想的組織体系⁉ティール組織を紐解く! ①
Introduction
組織論という言葉を見たらあなたは一体どのようなイメージが浮かんでくるだろうか。
“堅苦しい” や “つまらなさそう” などといったネガティブな言葉が思い浮かぶ読者も多いのではないかと思う。
もしかしたらあなたは “楽しそう” と思う変わり者かもしれない。
しかし、人はみな組織というものに一度は所属するといっても過言ではないため、それを正面から解き明かそうという試みは意外と大切なことなのかもしれない。
とはいうものの、 “組織” って一体何なのだろう。
なじみ深そうな言葉のわりに、定義を聞かれたら中々答えにくいのではないかと思う。
そこで一度その定義を考え直してみよう。
アメリカ人のチェスター・バーナードは組織をこう定義した。
→ “二人以上の人々の、意識的に調整された活動、諸力の体系”
なにか難しい言葉で固められているが、要はある目的をもって、なにかを成し遂げようと活動をしている二人以上の人々ということだ。
こう定義されると、やはり組織に所属した経験を持っている読者は大半...いや、むしろ組織に所属したことがない人なんていないのではないだろうか。
なぜなら言ってしまえば会社はもちろん、学校の部活動であったり、学校で行ったグループプロジェクト等も組織の一環とされるからだ。
そんななじみ深い組織なのだが、対して組織論とは名の通り組織の形態について論じられているものである。
そして昨今、ティール組織という時代の寵児ともいえる組織論が出てきた。
この話題の火付け役になったのはフレデリック・ラルーというアメリカ人が2018年に出版した “ティール組織” という一冊の本である。
この本は出版されると同時に、数々の賞を総なめにしてきた。
例えば、人事、人材開発、そして労務管理などの分野においてイノベーションを起こしたと思われる人に与えられるHRアワードであったり、1年間を代表するビジネス書の著者に送られるビジネス書大賞だ。
なぜこの本がそんなにも話題になっているのだろうか。
そして、何故読者の皆さんもこの組織のアイディアに触れておくべきなのだろうか。
ラルーは本書の中で組織の形態はパラダイム(ある時代や分野において多くの人に共有された物の見方や捉え方)の変化に伴って変容してきたという。
ティール組織という新しい形の組織が出てきたということは我々もまたその岐路に立っているのではないだろうか。
例えば、最近は日本でも一つの職に縛られ続けず、転職へのハードルが下がってきている気がする。
なぜだろうか。
私は、多数の人が仕事は生きるためにするという認識から、人生を謳歌するためにするものという認識へ移り変わってきているからだと考察している。
ある人は社会的に意義のある仕事をして世界をより良い世界に変えようとしているかもしれない。
また、ある人は自分が心底楽しめる仕事に就こうとしているのかもしれないし、もしかしたら仕事以外の "リアル" をより充実させるための手段の一つとして考えているのかもしれない。
そのような時代背景が存在する中で、ティール組織は人を手足としてではなく、人として扱い、組織に所属する者それぞれがやりがい、存在意義、目的を持ちつつ働くことが出来る環境を作りだせる未だかつてない組織だ。
これは今までの組織体系と照らし合わせると、人生を大きく変える変化と言えるだろう。
そして本の話題性からしても人々はこれを欲しいている。
だから読者の皆さんもここへたどり着いたのではないだろうか。
今回の記事は3部構成であり、2部目でティール組織についての解説、そして3部目で考察をする。
目的はシンプルだ。
ただ読者の皆さんにティール組織を紹介するというもの。
3部目ではティール組織の良いと思われる点と共に問題点や疑問点もあげていく。
それを踏まえて読者の皆さんにはティールが現段階での最適化組織なのか、それともより良い組織形態は存在するのだろうかなどと考えを巡らせていただきたい。
では、早速2部目へと移行しよう。