ほっかいどう暮らし１８３　小樽市　腹黒あんかけ焼きそば

６月も後半の金曜日の夕方、会社で仕事をしていると札幌の業者より電話が入る。

午前中うちのお客さんから、明日土曜日の午前中に仁木町の現場に資材が届くように注文を受け、札幌の業者に「明日必着で直接現場へ荷物を送るよう」手配をしたのですが、若い担当者が発送を失念したらしい。

しかし文句を言っても解決しませんし、お客さんに迷惑をかける訳にもいきません。

仕方がないのでこれから僕が札幌まで行って資材を引取り、明日の朝仁木町まで持っていくことにしました。

夕飯も食べずに札幌を往復し、家に帰り着いたのは夜の９時近く。

ちょっと愚痴でも聞いてもらおうと、ご近所の飲み友達のコーイチさん（５０代初め）とゆういちさん（４０代後半）に「今日の出来事」をメッセージで送ったら

「それは大変だったね」「あんたのミスでもないのにね。えらいよ」

なんて慰めてくれる。そして

．．．なんていいおじさん達なんでしょう。

翌朝、仁木町を目指し早い時間に出発。．．．と思ったら

なんか、ついてきたっ！！

まぁ、仕事と言っても資材を届けるだけなのでついてくるのは問題ないのですが．．．それにしても暇なおじさん達．．．。

相変わらず中身のない話をしながら国道を走り、９時過ぎには

フルーツの町・仁木町に入りました。

そのまま真っすぐお客さんの現場へ向かい、無事配達完了。

その後「これからどうする？」という話になり、コーイチさんが

「小樽へ行きたい」

と言い出しました。

へぇ、珍しい。コーイチさんって「お酒」と「競馬」くらいしか興味がないのかと思っていたけれど、小樽観光には関心があるんだ。

あまりにも意外だったので、つい「コーイチさんの行きたい所に付き合うよ」と言ってしまったら

コーイチさん　「どこでもいいのか？

はっ？てんぐっ？？

コーイチさんが言う「てんぐ」とは、どうやら「天狗山」のことらしい。僕もゆういちさんも小樽には何度も来ていますが、天狗山には行ったことがありません。

そこで３人で向かいましたのは

小樽天狗山ロープウェイ

山麓の駅からロープウェイに乗って、約４分で展望台まで行けるらしい。

早速ロープウエイ乗り場へ行ったのですが

料金表を一目見て、コーイチさん

えっ？えええっ？？

確かに登山道を登って展望台まで行けるようですが、けっこう急な斜面を３０～４０分ほど歩かなければなりません。しかも

クマ出没注意っ！！

さらに雨まで降ってきたので登山は諦め、「どうしようか」と再度案内板を確認すると

．．．普通に車で登れることが判明．．．。

そこで２０分ほどクネクネと曲がった上り坂を車で走り、やってまいりました

第１展望台。

初めての天狗山は小樽の街や海が一望でき、その絶景には素直に感動しました。

しかしそんな素晴らしい眺望には目もくれず、コーイチさんが真っ先に向ったのは

鼻なで天狗さん

どうやらコーイチさんの１番の目的は、この天狗の『願掛け』だったようです．．．。

せっかくなので僕たちも願掛けをしようと説明書きを読んでみると

この天狗さん、お願いの内容によって鼻の撫で方が違うらしい。

僕は両手で鼻の両側を撫でて「商売繁盛」のお願いを、昨年独身に戻ったゆういちさんは全体を交互に三度撫でて「良縁」と「家内安全」を祈願。

コーイチさんを見ると、鼻の両側を跳ね上げるように撫でています。

そこで僕が、「それは『学業成就』の撫で方だよ。また試験でも受けるの？」と聞いたら

コーイチさん　「わかってないねぇ。どうして俺が長年に渡って馬券を買い続けていると思う？」

と言うので

僕　「ギャンブルが好きだからでしょ」

ゆういちさん　「ウマオヤジだからねっ」

するとコーイチさん

「違うわっ！俺が毎週馬券を買うのは

．．．で？．．研究の成果はいつ現れるのでしょう．．．。

それぞれの願掛けも終わったところで、コーイチさん

「山に登ったらハラがへったな。何か食べに行こうぜっ」

と言い出す。

さも自力で登ったかのような言い方に「イラっ」としながらも、「コーイチさんは何が食べたいんだい？」と聞いてみたら

「小樽名物のあんかけ焼きそばだな。あ～、わかっていると思うけどおいしいやつねっ」

その言い方で更に「イラっイラっ」としましたが、気を持ち直してやって来ましたのは行列のできる人気店

中華食堂　龍鳳　さん

お店は混んでいたので、少し待ってテーブル席に分かれて座りました。

お冷をいただきながら、メニューを見ると

あんかけ焼きそばの種類が多いっ！そして気になるのが「１人前（２玉）」の表示。

常連っぽい女性のお客さんの注文を聞いていると、普通に１人前を注文している様子。ひょっとして1玉の量が少な目なのかなと思いながら、僕は「腹黒あんかけ焼きそば１人前」を注文しました。

おじさん達は離れた席で競馬の予想をし、1人席の僕はNHKのお昼の番組を見るともなく目をやりながら穏やかな気持ちで待っているところへ、「お待たせしまた」と

おおおっっ！！

「腹黒あんかけ焼きそば」が登場っ！！

大きなお皿に黒い餡の山っ、思っていたよりかなりボリュームがあります。

具沢山の餡はコクの深い醤油ベースに胡椒のピリッとした辛味。濃いめの味ですがクドさは無く、僕の大好きな味。ニンニクの芽がシャッキシャキでいい感じです。

ドロリとした餡が麺によく絡んで．．．うっ、うまいっ！！

「１玉が少な目なのか？」は大間違い。普通に２玉入っています。結構な量ですが、箸が止まりません

焦げ目のついてパリッとしたところが．．．やっぱりうまいっ！

ごちそうさまでした。思いの外ペロッと完食してしまいました。

その後は真っ直ぐ家に帰り、「今日の反省会だ〜っ！」と理由をつけてお酒を飲みました。

さてその翌日。

午後４時を過ぎたあたりで、コーイチさんから「歓喜のスタンプ」に続いて送られてきた画像が

なんと万馬券的中っ！！

「祝杯だ〜っ！」と盛り上がるコーイチさんの呼びかけで、その日も３人でお酒を飲みました。

楽しくお酒を飲みながら

僕　「天狗山へ願掛けに行ってよかったね」

ゆういちさん　「やっぱり天狗のご利益だわっ」

と言ったら

コーイチさん　「そんなわけないだろぅ。今日の万馬券は、俺の

いやいや、コーイチさん．．．なんか．．．

天狗になってますよ〜〜〜っ！！

おしまい