ほっかいどう暮らし43 歌志内の郷土料理 『なんこ』
4月のとある土曜日の夜、いつもの通り近所のおじさん達で集まってお酒を飲んでいた時のこと。
「最近は温かくなったし、どこかに行きたいねぇ」「確かに。でもこの時期札幌には行きづらいし」「人の多いところには行きたくないなぁ」「と言って人の少ないところへ行っても…」
などと話していたら、突然コーイチさんが
僕「いや、歌志内市って…何かあるのか?」
コーイチさん「『昨日、悲別で』っていうドラマの舞台になったロマン座があるしょ」
ゆういちさん「ずいぶん昔のドラマだねぇ。観たことあるの?」
しかし、飲んだ勢いというのは恐ろしいもので、翌日の午前中には何故か僕とコーイチさんの二人で歌志内市に向かっていました。
歌志内市は北海道の真ん中辺り、旭川市の少し南側にある市です。かつては石炭産業で栄えたそうですが炭鉱閉山後は過疎化が進み、令和3年3月31日現在の人口は2,994人。「日本で最も人口の少ない市」となっています。
悲別ロマン座
まず初めに向かったのは、話に出てきた「悲別ロマン座」。
「悲別ロマン座」は1984年に放送された倉本聰さん脚本によるテレビドラマ「昨日、悲別で」の舞台となった建物です。
夏季シーズンにはカレーなどが食べられるカフェがオープンするのですが、今年はコロナの影響で
「やつてない」。
歌志内市郷土館 ゆめつむぎ
次に向かったのは歌志内市街地にあります郷土館「ゆめつむぎ」。
受付にゴールデンウィーク中は「入館無料」との案内が貼ってあったので、手指の消毒と名簿の記入をして入ってみると、中は真っ暗。受付に戻って
「あんまり人来てないんだろうな〜。期待できないな〜」なんて思っていたのですが…
大きな間違いでした
歌志内市の歴史や炭鉱について学べる展示の他
昭和の香り漂う「まちのメモリアルゾーン」と名付けられたコーナーが目を引きます。
このトースター、子供の頃全く同じものが家にあったんです。懐かしすぎて感動すら覚えました。
すっかり楽しんで(コーイチさんはそうでもなかったようですが)外に出ると、ちょうどお昼時。そこで予め調べておいた歌志内市の郷土料理「なんこ」を食べに行くことに。
なんこ鍋
向かったのは歌志内市のHPで紹介されていた、温泉施設「チロルの湯」に併設の「レストラン チロル」さん。
「なんこ」とは、産炭地で食べられてきた料理で、馬の腸を柔らかくなるまで煮込んで、味噌で味付けをしたものです。
歌志内市では長年にわたり愛されてきた家庭料理で、今でもお正月やお盆など家族や親戚が集まる時に作られるそうです。
席に案内されると注文を聞かれたので、僕が「なんこ鍋定食ひとつお願いします」と言うとコーイチさんも「俺もなんこ鍋定食」
僕「やめれ!恥ずかしい!!」
コーイチさん「いいじゃないか。別に損するわけでもないし」
(う〜む。笑ってもらえたなら別として、「しょ〜もないオヤジだな〜」と思われただけでも十分損だと思うのだが)
そして少しして出てきたのがこちら
「なんこ鍋定食」
「なんこ」は本当に柔らかく煮込まれていて、臭みも全くありません。「馬の腸」と聞いていなければ、普通に美味しい「あっさり系の味噌ホルモン鍋」という感じ。
それでも、先に郷土館で歌志内市の歴史に触れていたので、「郷土料理」だと思って食べると味わいも深まります。
ちなみに添えられていたのは「唐辛子」ではなく
「山椒」でした。ピリッとして美味しかったです。
味付けとしては優しい味噌味で、ご飯のおかずには物足りないな〜、お酒だな〜と思いながらも
すっかり完食。(コーイチさんは「うまい、うまい」とモリモリご飯食べてました)
少し休んでから、また3時間ほどかけて帰宅。
帰ったらやっぱりおじさん達がお酒を飲んでいたので、歌志内の報告会。
「何か美味しいもの食べてきたかい?」と聞かれたので「『なんこ』って言う郷土料理があってね」と説明していたら、横からコーイチさんが
おいっ!懲りれや〜〜〜〜っ!!
おしまい
「人の少ないところ」でも十分楽しめました。
(実際にはマスクの着用と黙食には気を遣っております。念のため)