ひたすら住宅改修の申請をする保健師の話
介護保険で行う住宅改修。
自宅の環境が介護や介護予防のために不都合がある場合、
介護に必要な部分のみの改修に関して、補助金が出る制度。
ただし、介護保険被保険者(=本人)自身の動作に関わる部分のみ。
つまり、介護者が介護に必要な動作を楽に行えるようになるための工事は対象外。
(例:風呂場が狭くて介助しにくいので、広くする工事をしたいなどは対象外)
また、住宅改修は基本的にはまずはお金を全額払い、後からお金が戻ってくる、という制度なのも注意が必要。
ちなみによつば地域包括支援センターがある市では、介護保険での補助金のほかに、市の制度としての補助金もあった。
利用者さんの中には「自宅の床が古くなったのでリフォームしたい」と言われることもある。
しかし、老朽に伴う工事は基本的に対象外。
あくまで介護に必要な部分のみの支援なのだ。
ただ、抜け道は少しある。
例えば、「風呂場が古くなって変えたい」という場合は、以下の部分は助成がおりる。
・床材を滑りにくく変更
・ユニットバスの高さが低いものにして、跨ぎ動作が楽になる
・手すりを付けて、安全に跨ぎ動作や立ち上がり動作を行える
・開き戸から引き戸に変えて、安全にドアの開閉動作を行える
といった具合。
この工事はどうしても理由がつけられないのでだめということはしっかり包括として伝える。
介護保険や市の事業の一環であることもあり、申請のための手続きごとがいろいろと必要。
福祉用具の事業所に住宅改修を依頼すれば、申請から工事施工まですべてやってくれるので包括としてはとても楽。
だけど、利用者さんの中には懇意にしている個人の工務店にお願いしたい、という人も多い。
そんなときはこのちょっと面倒な申請をすべて包括が行う。
まずは申請書の記入。これの記入自体はあまり時間はかからないし、間違えることもほぼない。
次に写真。高さが変わる部分はちゃんとメジャーを当ててわかるように。そして日付を入れて撮影することも忘れずに。
そして、理由書というものを作成。今ご本人はどのような状態で、どんな不自由があるか。そして、工事をすることでその不自由さがどう改善されるかといったことを記載。工事全体ではなくて、手すり1本1本にしっかり理由をつけて記載
する必要がある。
また、自宅の間取り図も必要。書類として間取り図が存在すればコピーさせてもらえるが、ない場合は手書きで描く。工事が居室等の場合は、居室の間取りだけではなく、居室がある階全部の様子が分かる必要があるので確認させてもらう。(1階に居室があって、居室を工事する場合、1階全体の間取り図が必要)
最後に、工事の見積書を用意。これは包括では用意できないので工務店に依頼する。だけれど、なかなか出してくれないところもある。「申請が通らないと工事ができなくて利用者さんが困ってしまいます」と何度かせっつく。
書類を整えてようやく役所へ申請。
不備があれば再び整え直して提出。不備がなければ申請受理。
ここまでが工事前の申請。
申請が受理されてようやく工事開始となる。
工事が終わった後も申請が必要。
利用者さん宅に行き、工事後の写真を撮ったり、領収書の原本を預かったりして必要なものを整える。
それを役所へ再び申請して、受理されたら、ようやくお金が戻ってくる。
これが住宅改修の一連の流れ。
包括職員としては、福祉用具の事業所さんで工事を依頼してほしいと切に願っている。
この一連の流れをすべて事業所に依頼できるのは大きい。
しかし、黒井は引きが良く、工務店での工事希望の利用者さんを担当した人数は、よつば包括の中で一番と言っても過言ではないほどだった…。(おかげで住宅改修申請スキルが上がり、ほぼ1発で受理されるようになった。けれどこれは本当に包括に必要なスキルなのかは謎…)