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父はADHD?7 眠剤のせいじゃない

これまでの話は下記で。

遠距離で一人暮らししている父の物忘れに、今までにない違和感を覚えたわたしは、かかりつけ医に同行しました。医師の話から、父が睡眠導入剤と安定剤を飲み過ぎていることが、発覚。薬を減らして様子を観察することにしました。

姉妹に父の物忘れに違和感があると話をすると、
「お父さんって、前からそんな感じだよねー」
「それに近いことって、前もあったよ」
と言われました。確かにそうではある。でも今までとなんか違うんだよ。

とりあえずその夜は、父の睡眠導入剤を半量にし、残りは隠しました。ぐっすり寝ていた深夜のことです。いきなりわたしが寝ていた部屋のふすまが「バーン」と開き、苛立った父が立っていました。
「お前、俺の睡眠薬どうしたんや!」
「えー?お医者さんと相談して、飲み過ぎてるから減らすことにしたよね」
「全然寝られへん!薬くれよ!」

寝ぼけていたわたしは、父の行動にびっくりしました。知識が乏しかったので、継続して服用していた睡眠導入剤を減らすと、これほど反動が激しいとは思っていなかったのです。

翌日ネットで調べました。安定剤をやめ、睡眠導入剤を急に半量に減らしたのは、早すぎた。もう少しゆっくりやらねばならないのだと気がつきました。とりあえず今までの3/4に減らし、わたしの滞在が終わる頃には、1/2になっているようにしよう。飲み忘れないよう、薬もわたしが一包化しよう。

結局、1/2量までもっていくのに、10日かかりました。一度帰ってまた来るということができない距離なので、わたしはその間実家に滞在することになり、入っていた派遣の仕事はキャンセルしました。そして、10日後、安定剤と睡眠導入剤の飲み過ぎのせいで怪しくなっているなら、回復するはずの父の記憶力や行動は戻りませんでした

最近、亡くなった友人のお葬式に行ったかどうかがわからない。その人は親友と呼べる人でした。亡くなったことは覚えていて、お葬式に行ったかどうかわからないことなんてことは、今までなかったことです。

そして、10日間滞在していると、来客の約束があやふやになっていることに気づきました。買物に出る以外、基本的に父は自宅にいるので、約束していてもしていなくても、あまり困らないので、今まで困っていなかっただけで、最近では、約束の時間に起きていないことがあると人から知らされたのです。

あぁそれもこれも一時的に、薬のせいで記憶が飛び、寝てばっかりだったと思いたい。でももう仕事は無理かも。そう思いながら帰宅しました。いつもより長く実家に滞在し、口うるさく言ったせいで、わたしの帰り際、父は「二度とこの家の敷居をまたぐな!」と言いました。

ドラマやドキュメンタリーで「そう言われて二度と敷居を跨がなかった、そうこうしているうちに親は亡くなった…」という話を見聞きします。親との絶縁はそんなことがきっかけかもしれません。が!父の場合、そんな言葉を真に受けてはいけない、父が感情的に発した言葉に深い意味はない、とわかっていました。わかっていても悔しい悔しい!自分の10日間を返してほしいと新幹線で泣きました。

父の感情爆発について綴りました。つづきはこちらで。


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