歌舞伎観てきました!7『天守物語』
2023年12月歌舞伎座で観劇。(他のSNSから移動しました)
「天守物語」。
姫路城の中村座で上演され、歌舞伎座凱旋上演です。姫路では、亀姫は鶴松さんでした。映像で見た若々しい鶴松さんの亀姫、その妖艶さも素敵でしたが、今回それを玉三郎さんがーーーーっ!
姫路にある白鷺城の天守最上階には、美しい異界のものが何百年の時を経て、住んでいる。下界では、白鷺城の主、武田播磨守がさわがしく鷹狩をしている。
美しい天守夫人富姫(七之助)のところに、富姫を姉と慕う亀姫(玉三郎)が訪れる。二人はとっても仲良しで、頬を寄せ合い、見つめ合うシーンは、なまめかし過ぎて、「わたしは、今、何をみているのかしら?」と陶然とした気分になる。
香を焚きしめた、いぃい匂いがする(気がする)。
麗しすぎる!
玉三郎さんと七之助さんなんだけど、この世のものならざる富姫と亀姫でもある。
亀姫が富姫への土産だといって持ってきたのは、首桶。中には武田播磨守の弟の生首。血で汚れている。舌長婆(勘九郎)が、それを長い舌でなめとるシーンは、キモさ十分。とはいえ、舌長婆は姫路バージョンより、小ぎれいになっている気が…。富姫は、亀姫へのお礼に、播磨守の白鷹を捕らえて、プレゼントする。
その因縁のせいで、美しい若者(虎之介)が、天守の最上階に迷い込んでくる。ほの暗い舞台。人間と異界の者とが、ゆっくり近づき、ささやかに触れ合ってゆく、富姫が「帰したくなくなった…」とつぶやく。時空のゆがみの中を、二人でたゆたっている。
虎之介は、このメンバーの中では一番若手。姫路の時からずいぶん玉三郎に絞られていた(年末TVより)ので、声がいい感じ。
最後は、獅子頭が動いたりの大転換まで、お芝居の緩急が楽しい。
玉三郎さん、七之助さんのキャストで「天守物語」を見られるのは、最後かもしれない。いつだって最後かもしれないと思いながら観るけれど。すごいものを観せていただきました。