[場面緘黙症・緘動また発達障害・不安障害・不登校などの生き辛さ]への理解 第25話「フラッシュバック」
(ご理解いただけたら、周りの方に伝えたり、この投稿をシェアしていただけるとうれしいです。)
長女は4歳の時、幼稚園入園をきっかけに場面緘黙症・緘動(※)を発症しました。
我が家の3人の娘たちは園や学校に行かず(行けず)家庭を中心に過ごしています。
※:家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面、状況では話すことができなくなる疾患。強い不安により体が思うように
動かせなくなる「緘動(かんどう)」という症状が出る場合もある。
症状や困難さはそれぞれかと思いますが、我が家の場合を伝えていきます。
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"フラッシュバックとは、強いトラウマ体験の記憶が、後に、突然かつ鮮明に思い出される現象で、ストレス症状のひとつである"
記憶に残るかどうかもわからないような幼少の体験もフラッシュバックを起こすのだと知ったのは、長女の歯医者さんでの出来事。
はじめて尽くしの長女の育児は、育児書や先輩ママのアドバイスに翻弄された時代でした。
歯のケアも例外ではなく、嫌がる娘をなだめたり押さえたりしながらの丹念な仕上げ磨き。
最初の奥歯が生えた頃、ママ友に誘われてフッ素塗布とシーラントのために初めての歯医者さんへ連れて行きました。
私と同世代のママ友が幼少からかかっているという昔ながらのやや古びた歯科医院。
先生も歯科衛生士さんも、ちょっとこわめの塩?対応。
まだ小さいので、事故防止のためタオルで巻かれ、さらにネットで拘束されての処置。
また、シーラントは水分があると接着しないため、ラバーダムというゴムマスクの様なもので口を覆われる状態。
どう見ても恐怖。
もともと不安や恐れの強さが気になっていた長女をお任せするのに躊躇しましたが、先に処置を済ませた同級生のお友達も大泣きしつつもやりとげた姿を見て、娘もきっと乗り超えるはずと心を決めました。
当然ながら尋常ではない泣き方に不安が募り黙っていられなくなった私は、先生に、
「気が狂ったりすることはないですよね?」
とたずねました。
先生は、
「これがトラウマになるなんてことはありませんから」と少しあきれ顔。
結局、娘は二度に分け、この歯医者さんで処置を受けました。
セオリー通り、憔悴しきった処置のあとのちょっとしたプレゼントに、お友だちも娘もキャッキャと笑顔が戻り、
「やっぱり子どもってこんなもんよねー」と、ママ友と胸を撫で下ろしました。
その後、私は二女の妊娠出産に慌ただしい日々を送ることになり、定期検診の知らせをスルーして、娘の歯科医への再訪は見送られました。
あの恐怖の初体験から三年ほどが過ぎ、二女の歯医者さんデビューの機会に、5歳になった長女も一緒に近所にできた評判の良い歯科医へ連れていきました。
スタッフ全員が子ども目線の優しい対応や、子供向けの設備のある空間に、長女にはあの時はかわいそうなことをしたなと後悔しました。
そんな後悔とは裏腹に、長女は一人診察台に寝転び上手にお口を開け、一度目のフッ素とシーラントを難なく終えました 。
「すごいねー!さすがお姉ちゃん!」
と先生にも絶賛され、まんざらでもなさそうな長女。
「次回は反対側の奥歯にシーラントやろうね!」
と軽く予約をして帰り、いざ次の診察日。
前回同様、長女は一人でさっそうと診察台へ。
先生も、「この子は問題ないわね」という感じで特に気をつかうこともなく、つつがなく処置が終わろうとするその時!!
娘は突如起き上がり、恐怖におののき、泣き叫んだのです。
何かミスでもあったのかと思いましたが、特に痛みのあるような処置ではなく前回と同じ工程だとのこと。
家に帰り、やっと落ち着きを取り戻した娘に事情を聞くと、三年前に受けた恐怖体験が急にリアルによみがえったのだと言います。
娘は当時の処置についての詳細だけでなく、その日に着ていた服装や一緒に行ったお友達との会話なども細かく話してくれました。
今、コロナウィルスの脅威が日常に襲いかかり、様々な影響が出ています。
連日飛び交うコロナ関連の情報は、私たち大人にも混乱や大きな不安を与えています。
不安感や恐怖心の強い子どもたちには特に、心のケアもとても重要だと言われています。
長女や二女には強迫観念の強さも見られ、例えばコロナウィルスについても、「〇〇だったらどうしよう」「〇〇かもしれない」「〇〇に違いない」…と不安感はエスカレートしてしまい、とてもおびえてしまいます。
不安の強い子どもたちの場合、薄いガラスの様に張り詰めた不安感に、追い討ちをかける様な恐怖はトラウマとして残りやすい様に思います。
他のみんなも同じ情報を共有しているし、心配事にはなったとしてもトラウマと呼ぶほどのものになるなんて考えもしないかもしれません。
しかし、不安や恐れを受け入れる心が、はじめからとても敏感な子供の場合には、少しの配慮や追加の声かけなどのフォローをが必要だと感じています。
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例は、娘のケースです。
(注)私たち家族は長女が診断されて以来、下の二人の娘も含め、療育、相談、医療の機関に定期的にカウンセリングに出向き、登校できなくても、在籍する学校の先生と連携を取っていただいています。