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「生命とは何か?」から学ぶエコシステム

こんにちは、ストラボ代表の小木曽です。
今回は以前読んだ本で面白かったノーベル賞受賞生物学者のポール・ナース氏の「WHAT IS LIFE? (生命とは何か?)」について個人的に学びになった内容をシェアします。個人的には人間を含む生物全体に興味がありますので、とても楽しい読書体験でした。

すべての動物は「命の単位の集まり」

曰く、現在の地球生命体の殆どは細菌もしくはその他の微生物細胞であるとのこと、そして、生物の基本・最小単位となるのが細胞であり、ヒトは約30億個の細胞があり、その一つひとつに微生物がいるようです。その上で筆者は次のように言っています。

人は誰しも、孤立して切り離された存在ではなく、人の細胞と微生物細胞がからみあい、絶え間なく変化し続ける、巨大なコロニーなんだ。

個人的にはこの「絶え間なく変化し続ける」という考え方が、福岡伸一さんの動的平衡に繋がり、更には東洋哲学でもある諸行無常や諸法無我に繋がることで、やっぱりそうなんだろうなぁというある種の納得感がありました。その上で、筆者は小見出しにあるすべての動物は「命の単位の集まり」と述べています。

また、筆者は次のようにも言っています。

原核生物か真核生物かに関わらず、細胞のきわめて重要な部分は「外膜」だ。(中略)最終的に外膜は、宇宙全体を覆っている無秩序や混沌へと向かう力に、生命が首尾よく抵抗できる理由を説明する。細胞は隔離してくれる膜の内側で、自分たちが稼働するために必要な秩序を定め、それを高めてゆく。同時に、自分を取り巻く周囲の環境に無秩序を生むことができる。

これを考えると、まさに自分を形成する30億の細胞一つ一つの中に小さな自分がいて、その小さな自分が各々の中をコントロールし、外部ともうまく連動させていくイメージが浮かび、知的好奇心をくすぐりとても面白いなぁと思います。

細胞分裂は生物の成長と発達の基礎

生物の成長のメカニズムは、たった一つの細胞から始まり、細胞分裂を繰り返して、個別の組織や器官へと成長するとのこと。一人の人間の体内でこのような細胞分裂が絶えず繰り返されていることは、人生で考えた場合にも、人間同士による共存社会の中で他人同士が色々と試行錯誤を繰り返し着々と良い方向へと社会が改善されていく、そのことを考えるとプロセスの過程における一定の軋轢は至って健全なのだろうと感じました。

自然淘汰と企業のゴーイング・コンサーン

続いて自然淘汰について。筆者は次のように言っています。

自然淘汰による進化が起きるためには、生命体が三つの決定的な特性を備えている必要がある。
第一に、繁殖する能力があること。遺伝によって、その生命体の特徴を決める情報がコピーされ、生殖によって受け継がれてゆく。
第二に、遺伝システムを備えていること。遺伝によって、その生命体の特徴を決める情報がコピーされ、生殖によって受け継がれてゆく。
第三に、その遺伝システムが「変異」を示し、その変異が生殖過程で受け継がれること。

クリステンセンのイノベーションのジレンマにも通じるものがありますし、昔読んだ本でタイトルは忘れてしまいましたが(新書だった記憶があります)、老舗企業について調査された本で、それらの老舗企業の多くは、当初の事業と現行の事業が異なるという内容にも当てはまります。

上記の第一、第二は組織としてGoing concern(企業の存続が前提であること)を担保する体制・インフラが整っていることに対して、第三は新しい芽をきちんと組織で受容し育める組織風土の必要性を示唆していると感じます。

生物の脱皮ではありませんが、企業も変わりゆく事業環境に適応するために「セルフ自然淘汰」をしていく視点を持って経営することが大事なんだろうなぁと思います。その意味ではジャック・ウェルチがGEのトップであったときに、既存事業を潰すような位置づけの組織を自社内で発足させたというのもある種新陳代謝を促す組織論だったのだろうと思います。

サステナビリティは揺るぎない社会アジェンダ

最後に、筆者のこちらを紹介します。

地球上の生命は一つの生態系に属している。そこには、あらゆる生き物が組み込まれ、相互にあまねくつながっている。 このつながりは本質的なものだ。それは、相互依存の深さだけでなく、あらゆる生命が共通の進化のルーツを通して遺伝的に親戚であることによってもたらされる。

地球温暖化や大気汚染に海洋汚染等、地球環境が人間の行為によって深刻なダメージを受けている中、可能な限りサステナビリティの追求・対応をしていければと思います。

以上となりますが、こちらの本にはもっと細かい粒度で詳しくわかりやすく細胞や遺伝子等について書かれて、とても面白いので是非何か良い本を探しているという方がいらっしゃれば手に取ってみてはいかがでしょうか。

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