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《PTSD治療へ》感動と因縁。-因縁編-

2件のクリニック…
両方資料に目を通した。

確か、こちらは女医さんがいるとか言う噂を聞いたことあるな…

もう1件は…、あ"!!
スマホで検索をした。
コイツ!!
この顔!!
コノヤロー!!

実はもう1件はかなり名の通ったメンタルクリニックで理事長先生は何冊も本を出している。
その本を私は15歳のときに買い、読み倒した(しかも初版本だぞ)。
(書名出しちゃうと住んでる地域バレるからな…)

付箋を何枚も貼り、マーカーペンして、セルフ診断もたくさん書き込んで、自分の意見や感じ方も書き込んで、『古本としての価値はゼロ』状態になるまで読み込んでいた。

本の最後に『〇〇クリニック』と名前が出ていたため、私は受付に何度も電話をかけた。

20年以上前。

15歳だった私は、文の書き口調がキツイなぁと感じながらも、こんな本を出せるような立派な先生なら、私の心身に起こっていることが何なのか分かるかもしれない…!!

何度も何度も電話をかけた。

二つ折りの、まだアンテナがついたケータイ電話で。
(アンテナ引っ張ると伸びるんだぞ?)

何日も、何日もかけた。

泣きながら。

2週間かけて、受付は出なかった。

それから、かける頻度は週イチにして、だんだん減らして月イチにしたけど。
数年間繋がらず。
最後には『おかけになった番号はただ今使われておりません』とアナウンスされた。


期待が大きかった分、10代の少女はこの医者を恨んだ。
数年は長かった。
絶望した。

ボタボタ涙を床に落としながら。

『……幽霊だ!
このオジサンは幽霊に違いない。
嘘んこ書いた幽霊だ!
きっとクリニックだって嘘んこだ!!』


手垢まみれの、付箋アンド書き込みまみれの本を睨みつけた。

幽霊だ。



ただ、その幽霊はテレビに映る。
それくらい名の通った医者で、今でもたまにニュース番組で精神科医のコメントです、みたいに出てくるときがある。
(最近テレビ見てないけど、二年前は確かお顔も映ってたな)


私が電話を諦めた頃からテレビ出演もしていて、私は顔を見ると『幽霊!』とテレビを切っていた。



正直、ただの逆恨みだ。

電話番号が違ったのかもしれない。
いつも通話中だった。

本などの反響でクリニックがパンクして、番号を変えざるを得なかったのかもしれない。


それでも、私の中で非常に心象の悪い医師である。

もちろん理事長先生オンミズカラが現場に現れることはないだろう。


不思議な因縁だ。

20年以上前に散々泣かされた(会ってもいないのに)医師のクリニックに問い合わせをする形になるとは…


そして、診療時間内に電話をかけたのに、
『診療時間外です』と自動音声が流れた。


『まだ、幽霊やってんのかよ(笑)💢』


こちらは暴露療法を取り入れているクリニックだ。

もう一方の女医さんがいるらしいと聞いたクリニックでは暴露療法ではなくEMDRを取り入れている。


一人で車を駅まで運転し電車を乗り継いで1時間はかけて行くのだから、『ひとりで帰ってこられる』ことも大切な条件になるだろう。

私は記憶が原因で卒倒したり、そのまま3日間目を覚まさなかったりという経験があるから、そこは慎重にいきたい。

どちらかと言ったら暴露療法の帰り道の方が心配だ。



2件ともコンタクトを取ってみる。

お金の面も考えてこの2件を今のクリニックは選んでくれたんだ。
(保険適応で、自立支援も使えるクリニックをチョイスしてくれていた)

相性が悪ければ、また他も探すけど。

まだ、車が手元にあるうちに。

まだ、内職があるうちに…


とにかく、お盆明けに私がやるのはコンタクトを取ることだ。



       因縁編…完





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